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営業職の歩合給で残業代は支払ってもらえる?弁護士が解説!

2017年12月04日
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営業職の歩合給で残業代は支払ってもらえる?弁護士が解説!

営業職の方は、労働時間が長時間になりがちです。売上げのノルマに追われて、契約をとるために、定時が過ぎても外回り営業している方も多いでしょう。
どれだけ長時間外回り営業をして働いても、まったく残業代を受けとることができていない例もよく見られます。会社に請求すると、「歩合給の場合、残業代は給料に含まれている」などと言って、支払をしてくれないこともあります。

しかし、営業職や歩合給の場合でも、残業代を請求することは可能です。
今回は、営業職の歩合給でも残業代を支払ってもらえる理由と、請求方法について、ベリーベスト法律事務所 松山オフィスの弁護士が解説します。

1、歩合給とは

歩合給とは

不動産業界などの営業職の方は、給与体系が「歩合給」になっていることがよくあります。
歩合給というのは、「契約1件をとると○円」「売上の○%」など、一定の業績を上げると、その数字に連動した給与が支払われる給与体系です。
出来高払い制や、インセンティブ制とも言われます。

営業職の場合には、どれだけ契約をとれたのか、どれだけ高い売上げを上げて会社の利益に貢献できたかのが、ダイレクトに業績となって明らかになります。
そこで、歩合制などの成果報酬制を導入して、業績の高い人と低い人の給料額に差をつける実力主義を採用することが合理的になるのです。

2、営業職は、残業が多い

営業職は、残業が多い

営業職は、残業が非常に多い業種です。
事務職等の社内勤務の場合には、定時退社が原則ですので、残業はあまり多くならない傾向にあります。特に、最近残業規制が強くなっていることもあり、多くの企業で「定時を過ぎたら社内に残らず早く帰るように」と指示されている会社も増えてきています。
もし残業が発生したとしても、定時以降の勤務時間が明確なため、残業代の計算も容易です。

これに対し、営業職の場合には、商品や商材を売るためなど外回り対応をしているうちに、業務時間がどんどん延びてしまいます。定時を過ぎたからと言って、会社から「早く帰るように」と言われることはありません。
また、歩合給が採用されているため、売上げを上げないと給料額が低くなりますし、同僚にも差をつけられて、昇進なども難しくなります。
そこで、営業マンは、毎月の成功報酬の審査で高い評価を獲得するため、少々労働時間が延びても、無理をして仕事をしてしまう方が多いのです。

3、会社は、残業代を支払ってくれないことが多い

会社は、残業代を支払ってくれないことが多い

しかし、営業職が残業をしたとしても、会社はきちんと残業代を支払わないことが多いです。この場合、会社は以下のようなことを述べて、残業代支払いを拒むことがあります。

「残業代は、歩合給に含まれている」
「外回り営業には、残業代を支払わなくて良いことになっている」
「営業職は、残業代を請求できない」
「他の営業の人間は誰も残業代を請求していないだろう」


本コラムをご覧の方の中にも「自分もこのようなことを言われた」という経験を持つ方が、いらっしゃるのではないでしょうか?

しかし、上記の会社の言い分は、全て法的な根拠がないものです。
営業職であっても歩合給であっても、当然に残業代は発生しますし、残業代を請求することも可能です。

4、残業代が発生する基本のケース

残業代が発生する基本のケース

次に、残業の種類について知っておきましょう。
残業は以下の「法定時間内」「法定時間外」の2つに分けられます。

  1. (1)労働基準法が定める法定労働時間

    そもそも「残業代」がどのような場合に発生するものか、ご存知でしょうか? まずは、残業代が発生する基本のケースを押さえておきましょう。

    労働基準法は、基準となる労働時間の上限を定めています。
    これを、法定労働時間と言います。
    法定労働時間は、原則「1日8時間、1週間に40時間」とされています。
    この限度を超えて働かせるためには、企業は労使協定を締結し、労働基準監督署に届け出なければなりません。
    そして、法定労働時間を超えて働いたら、時間外労働となり、残業代の請求ができます

  2. (2)残業したら、割増賃金を請求できる

    法定労働時間を超えて働いた場合には、割増賃金を請求することができます。
    時間外残業の割増賃金は、1.25倍以上となっています。
    午後10時から午前5時までの深夜労働のケースでは、さらに1.25倍以上の割増賃金となります。そこで、深夜に時間外労働をした場合には、1.5倍以上の割増賃金が適用されることになります。
    また、休日労働の場合には、1.35倍以上の割増し率となります。休日の深夜に労働をした場合には、1.6倍の割増賃金が適用されます。

  3. (3)基本の残業代計算方法

    それでは、残業代は、どのようにして計算されるのでしょうか?
    基本的には、以下の計算式で算出できます。

    固定給額÷1ヶ月あたりの所定労働時間数×1.25(割増賃金率)×残業時間

    固定給額を、1ヶ月の所定労働時間で割り算することにより、1時間あたりの給料額が計算されます。
    そこに、割増賃金率と、実際に残業をした時間を掛け合わせれば、残業代を算出できます。

5、歩合給の場合の残業代

歩合給の場合の残業代

歩合給の場合にも、残業代は発生します。
上記で述べた基本のケースの「1日8時間を超えて働いた場合、1週間に40時間を超えて働いた場合」には、残業代が発生します。

ただし歩合給の場合、基本のケースとは残業代の計算方法が異なります。
計算式は、以下の通りとなります。

歩合給額÷1ヶ月の残業時間を含めた総労働時間 ×0.25×残業時間

まず、歩合給の場合、1時間あたりの賃金計算の方法が異なります。
基本のケースでは、「固定給」を基礎として、1時間あたりの賃金額を計算しています。
これに対し、歩合給では、「固定給」の金額ではなく、「歩合給」の金額全体を対象とします。

また、1時間あたりの賃金額を計算するための基礎とすべき労働時間も、基本のケースと異なります。
基本のケースでは、所定労働時間数で割り算をします。ここに残業時間は含まれません。
これに対し、歩合給の場合には、「残業時間を含めた総労働時間」によって割り算を行います。

さらに、割増賃金率の計算方法も異なります。
基本のケースの場合には、×1.25となりますが、歩合給の場合には、×0.25となります。
これは、歩合給の場合、時間外労働の時間あたりの基本の賃金(1の部分)は、すでに計算の基礎とした賃金総額(歩合給額)に含まれているので、足すべき残業代の金額は、残りの0.25に該当する部分のみとすべきだからです。

このように、歩合給の場合、1時間あたりの賃金額は、残業込みの総労働時間で割るために、一般のケースよりも小さくなります。
また、倍率も1.25ではなく0.25となるので、残業代は小さくなる傾向があります。
そうだとしても、残業をしている以上は、きちんと権利を行使すべきです。

  1. (1)歩合給の残業代計算の具体例

    歩合給では、具体的にどのくらい残業代が発生するものなのでしょうか?
    以下で、計算の具体例をご紹介します。

    モデルケース
    歩合給で、1ヶ月の給料額が、歩合給込みで25万円(通勤手当、家族手当を省いた金額)の人がいます。1ヶ月に、残業込みで200時間働いたとします。
    1ヶ月の残業時間は、38時間でした。

    まずは、1時間あたりの賃金額を計算します。
    25万円÷200時間=1250円です。
    そして、38時間働いており、割増し率は0.25ですから、
    1250円×38時間×0.25=1万1875円が、残業代となります。

6、営業職で「残業代が固定で給料に含まれている」と言われた場合の対処方法

営業職で「残業代が固定で給料に含まれている」と言われた場合の対処方法

営業職が残業代請求をすると、会社から、「残業代は、固定で給料に組み込まれているから、別途残業代を支給しない」と言われることがあります。
このように、残業代を給料に組み込むことを、固定残業代と言います。
確かに、固定残業代制の場合には、残業代が別途発生しないようにも思えます。

しかし、固定残業代制度は、どのような場合でも有効になるわけではありません。
固定残業代が有効になるためには、以下の要件を満たしている必要があります。


①労働者に、固定残業代制を採用していることを周知している
まずは、固定残業代を採用していることについて、労働者の同意をとっていることが必要です。
労働契約によって個別に合意をするか、就業規則によって周知する必要があります。

②基本給部分と残業代部分が明確に区別されている
固定残業代制が有効になるためには、基本給部分と残業代の部分が明確に区別されていることが必要です。


例えば、「月給30万円(45時間分の固定残業代として、6万円を含む)」などと記載している必要があります。単に「月給30万円(固定残業代含む)」というのでは、基本給と残業代の部分が区別されておらず、認めれません。
さらに、予定されている時間(上記のケースでは45時間)を超えて残業をしたら、残業代を支給しなければなりません。

会社側が「固定残業代を採用している」と言っていても、このような要件を満たしておらず、固定残業代制が無効になる例が多く見られます。
また、固定残業代制が有効であっても、定められた残業時間を超えて働いたら、残業代の請求ができます。

上記のような場合、勤務先から「給料に固定で残業代が含まれているから、残業代を支払わない」と言われていても、残業代請求を諦める必要はありません。

7、営業職で、「みなし労働時間制を採用している」と言われる場合の対処方法

営業職で、「みなし労働時間制を採用している」と言われる場合の対処方法

営業職の方が会社に残業代請求をすると「みなし労働時間制を採用しているから、残業代が出ない」と言われることがあります。

確かに、外回り営業など、労働時間の把握が難しい業種の場合、「事業場外のみなし労働時間制」が適用されて、一律に労働時間を決定することができます。
これが適用されると、基本的に残業代が発生しません。

ただ、事業場外のみなし労働時間制が適用されるには、労働時間の算定が困難であることが条件となるので、労働者が会社に随時報告を入れているケースや、監督者が労働時間の把握をしている場合などには、適用されません。
例えば、携帯やメールなどで随時上司に確認をとりながら外回りをしている場合などには、みなし労働時間制が適用されないので、残業代が発生します。

8、営業職が残業代請求をするなら、弁護士に相談を

営業職が残業代請求をするなら、弁護士に相談を

歩合給や固定残業代制、みなし労働時間制が採用されている営業職でも、多くのケースで残業代請求ができます。
会社から、あれこれ理由をつけて残業代支払いを拒絶されていても、「営業職だから残業がでない」などということは絶対にありません。


しかし、会社相手に残業代を請求しようと思っても、法的な知識がないと判断が難しい場合もあり、法律に明るくない労働者が1人で手続を進めるのは難しいでしょう。

ベリーベスト法律事務所は、労働問題に専門的に取り組んでおり多くの残業代請求の実績があります。
もちろん、外回りの営業職で残業代を回収された方も多数いらっしゃいます。

営業職で、これから会社に残業代請求をしたいとお考えの方は、ぜひ松山支店の弁護士へお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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