太陽光発電の運用でトラブルが発生! 未然の対応策と危機対応について
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気象庁のデータによると、愛媛県の松山気象台における年間日照時間(1981年から2010年までの平均)は2017.1時間となっています。
太陽光発電投資は、設置コストが比較的安いことや、安定した売電収入を得られることなどから人気を博しています。しかし、実際に太陽光発電設備を運用するに当たっては、自然災害や近隣トラブルなどの不確定要素により、さまざまなトラブルがつきものです。
この記事では、太陽光発電設備の運用上想定できるトラブルの内容や、未然の対策・危機対応などについて、ベリーベスト法律事務所 松山オフィスの弁護士が解説します。
1、太陽光発電システムの運用上発生しがちなトラブルとは?
太陽光発電システムは屋外に設置されるため、外的な要因を原因とするトラブルに見舞われる可能性を排除することができません。以下では、太陽光発電システムの運用に関して、実際に生じがちなトラブルについて解説します。
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(1)自然災害による設備の破損
落雷・豪雨による土砂崩れ・台風など、自然災害によって太陽光発電の設備が破損してしまうと、発電がストップしてキャッシュフローが滞ってしまいます。
このような設備破損は、施工業者(設置業者)によるずさんな工事が原因で破損が発生する場合と、あまりにも激しい自然災害により不可抗力的に破損が発生してしまう場合の両方が考えられます。 -
(2)地震による停電・売電機会の損失
大規模な地震が発生すると、地域一帯で長期間の停電が発生し、売電の機会が失われてしまうことがあります。
停電は復旧の見通しが立たない場合もあるため、キャッシュフローの計画が大きく狂ってしまうおそれがあります。 -
(3)日照量の減少による発電量減少
例年に比べて雨天が続くなど、日照時間が減少した場合には、それに伴って発電量も減少するため、売電収益が思うように上がらなくなってしまいます。
太陽光発電設備を長期間運用していれば、ある程度平準化されるものと考えられますが、当面のキャッシュフローがどの程度上振れ・下振れするかについては事前に検討しておく方が良いでしょう。 -
(4)設備の不具合による動作不良
太陽光発電設備自体が不良品であった場合などには、設備の不具合により発電がストップしてしまうことがあります。
設備の不具合については、メーカー保証などを利用すればカバーできる場合もあるので、事前に契約の内容をしっかりチェックしておきましょう。 -
(5)近隣トラブル
設置した太陽光発電設備に関して、近隣住民から苦情が寄せられる場合があります。
代表的なトラブルは以下のとおりです。- 反射光トラブル……ソーラーパネルの光の反射により、日常生活に支障が出ている
- 落雪トラブル……ソーラーパネルの上に積もった雪が落ちてきて、人体や財産に被害が出た
- 動作音による騒音トラブル……太陽光発電設備の動力源であるパワーコンディショナー(パワコン)の動作音がうるさい
- 雑草トラブル……太陽光発電設備の周辺に雑草が繁殖して、害虫被害や景観被害が発生している
- 土壌流出トラブル……強い雨が降った際などに、太陽光発電設備が設置されている土地の土壌が、周辺の土地に流出して被害を及ぼしている
上記のようなトラブルが発生した場合、周辺住民から損害賠償請求などを受ける可能性があります。
そのため、- 未然に対策を施す
- 周辺住民に対して事前にきちんと説明する
- 定期的に太陽光設備のメンテナンスをする
などの方法により、できる限りトラブルの発生を防ぐための取り組みが求められるでしょう。
2、太陽光発電投資と自家消費型太陽光発電の違いとは?
太陽光発電は、投資目的の場合(太陽光発電投資)と、自分の家で電気を消費する場合(自家消費型太陽光発電)の2つに大別されます。
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(1)太陽光発電投資は電気を売って利益を得る
太陽光発電投資は、自ら設置した発電設備において発電された電気を、電力事業者に対して売却することにより利益を得ることを目的としています。
太陽光発電によって得られた電気については、「再生可能エネルギー固定価格買取制度」(通称:FIT)により、電力事業者は電気を一定期間固定価格で買い取ることが義務付けられます。
そのため、発電を行う太陽光発電事業者としては、発電を開始する段階でキャッシュフローの見込みを立てることができるのです。
上記の理由から、太陽光発電投資は計画的な投資方法のひとつとして人気を集めています。 -
(2)自家消費型太陽光発電は電気を自分で使う
一方、自家消費型太陽光発電の場合は、太陽光発電によって得られた電気を自分の家で消費します。
自家消費型太陽光発電を行うと、自分の家の電気代が浮くというメリットがあります。
近年では、FITによる売電価格が徐々に下がっていることもあり、太陽光発電設備を新規に設立する場合は、自家消費型太陽光発電への利用を選択するケースも増えてきているようです。
3、太陽光発電トラブルを未然に防ぐ方法は?
太陽光発電に関してトラブルが発生すると、当初のキャッシュフロー計画に悪影響が出てしまいます。
そのため、トラブルのリスクをできるだけ負わないようにするアレンジを事前に組んでおくことが、計画的な投資という観点からは重要でしょう。
以下では、太陽光発電トラブルに関するリスクを軽減するための方法を解説します。
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(1)設備の不具合についてメーカーなどの補償義務を契約で定める
設備自体の不具合については、メーカーまたは施工業者との契約において補償義務を定めておくことで、損害を補填してもらえることがあります。
どのような内容の損害が補償の対象となるかについては契約の内容によるため、発電設備を設置する段階で、契約の内容をよく確認しておきましょう。 -
(2)太陽光発電の損害保険に加入する
メーカーや施工業者による補償は、あくまでも設備自体の不具合に起因する損害をカバーするものに過ぎません。たとえば近隣トラブルなど、その他の原因による損害については、メーカーや施工業者による補償の対象外となるケースも多いのが実情です。
このような損害が発生することに備えて、太陽光発電に関する損害保険に加入しておくのが有力な対策となります。
どのような損害をカバーするかは、保険の保障内容によって異なりますが、一般的に、保険が広い範囲をカバーするほど、保険料は高額になります。
そのため、リスクと保険料の兼ね合いを考えながら、どのような保険に加入するかを検討すべきでしょう。
4、太陽光発電トラブルが発生した場合の対処法は?
実際に太陽光発電トラブルが発生した場合には、事前の対策が十分行われているかどうかがひとつのポイントになります。
事前の対策がしっかりなされていれば、各種補償や保険金によって損害をカバーできる可能性があります。しかし、対策が必ずしも十分でない場合には、シビアな危機対応が求められるでしょう。
以下では、実際に太陽光発電トラブルが発生した際の対処法を解説します。
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(1)メーカーなどの補償や保険金を請求する
メーカーや施工業者に対して損害の補償を請求できるような契約上の手当が行われている場合や、損害をカバーできる保険に加入している場合には、これらの補償や保険金を請求することによって、損害を補填することができます。
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(2)弁護士に相談する
一方、上記のような契約上の手当や保険への加入がない場合には、トラブル対応は困難になります。
たとえば設備の不具合のケースでは、(補償規定がないとしても)メーカーや施工業者の責任を追及する方法がないかを検討しなければなりません。また、近隣トラブルのケースであれば、近隣住民との示談交渉などを進める必要があるでしょう。
このように、補償や保険に頼らずに損害の軽減などを試みるには、専門的な検討が不可欠です。その場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
また、メーカーなどの補償や保険金を利用できる場合であっても、請求先がさまざまな理由を付けて支払いを渋る事例もよくあります。
このようなケースでは、交渉の中で契約や保険約款の文言を引用しながら、損害が補償されるべき場面であるということを説得的に述べることが必要です。この場合も、やはり弁護士に相談するのが得策でしょう。
いずれにしても、太陽光発電に関するトラブルで損害が発生した場合には、その対処法について、弁護士のアドバイスを受けることは非常に有益です。
5、まとめ
太陽光発電投資は人気の投資方法ですが、その反面、常にトラブルのリスクと隣り合わせです。
そのため、太陽光発電投資を始める段階から、トラブルが起こったらどうすれば良いかを検討しておくのが良いでしょう。
とはいえ、実際にトラブルが起こってしまった場合の対応については、専門的な考慮の下で慎重に進める必要があります。
その際には、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所 松山オフィスの弁護士にご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています