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フリーランスは労働基準法が適用されない? 注意すべき点や適用される法律

2020年12月24日
  • その他
  • フリーランス
  • 労働基準法
フリーランスは労働基準法が適用されない? 注意すべき点や適用される法律

昨今、フリーランスという働き方が浸透してきましたが、さまざまなトラブルが起きていることも知られるようになりました。報酬の支払いは数か月先と言われた、作業のやり直しを追加報酬なしで何度も命じられた、といった話は珍しくありません。

このような扱いの中には、たとえば労働基準法で禁止されているような行為と似たものも見られます。

では実際に、フリーランスは、発注者に対して労働基準法違反だと指摘できるのでしょうか。

この記事で、ベリーベスト法律事務所 松山オフィスの弁護士が解説しています。

1、そもそも労働基準法とは

フリーランスと労働基準法の関係性を見る前に、そもそも労働基準法がどのような法律なのか確認しておきましょう。

労働基準法とは、労働者を保護するために、労働をさせる者(使用者)が守らなければならない最低限の基準を定めた法律です。全13章、121条からなる法律で、昭和22年に公布・施行されました。

以下、労働基準法にある主な規定をご紹介します。

●労働時間に関する規定
労働基準法でよく知られているのは、労働時間に関する規定でしょう。労働基準法第36条では、使用者は労働者を1日8時間・週40時間を超えて働かせることはできないと規定されています。

もしそれをする場合、事前に労働者、あるいは労働組合と労使協定(いわゆる36協定)を締結する必要があります。それでも、月45時間・年360時間(特別な事情を除く)を超える残業をさせることはできません。

●休憩・休日・休暇に関する規定
労働基準法では、労働者の健康を守るために、休憩や休日に関する条件も細かく定められています。

たとえば、労働基準法第34条では8時間を超える労働の場合は1時間の休憩(6時間を超える労働の場合は45分)を、同第35条では週1回以上または4週間を通じ4日以上の法定休日を労働者に与えるように決められています。

年次有給休暇(有休)や産前産後休業、育児休業などのルールを定めているのもこの法律です(同第39条、65条、67条など)。労働者にはこうした休暇・休業を取得できる権利があると明確に定められているので、当然ながら使用者は取得の請求に対して拒否できません。

●割増賃金に関する規定
労働基準法第37条では、特定の条件下で働いた労働者には、通常よりも多く賃金を支払うように規定されています。いわゆる割増賃金です。使用者は、時間外労働や深夜労働をした労働者には25%、法定休日に働いた労働者には35%の割増賃金を少なくとも支払わないと、法律違反に問われます。

●それ以外の規定
労働基準法では、上記以外にも、労働者を差別してはならない、強制的に働かせてはならないなどさまざまな決まりがあります。いずれにしても、これらの規定に違反した場合、使用者には罰金刑や懲役刑が科せられることになります。

2、フリーランスと労働者の違い

フリーランスとは、企業やその組織に縛られずに、個人の判断で仕事を請け負い、収入を得る人のことをいいます(個人事業主と同じとするときもあります)。このフリーランスと労働者には、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。

大きく異なるのは、次のふたつです。

  1. (1)基本的な働き方

    フリーランスは、企業などから仕事を受注し、それをこなすことで対価を得ます。基本的に仕事をこなすことができれば、働く場所や働く時間は問われないのが特徴です。ただし、その分、労働時間や休日などのスケジュール管理をフリーランス自身で適切に行う必要があります。

    一方、労働者は、企業などと雇用関係になり、就業規則や雇用契約を守りながら与えられた業務をこなして給与を得ます。たとえば、就業時間が9~17時と定められていて、オフィスで働くように指定されているのであれば、その時間中はオフィス内にいなければいけません。このように労働者は働き方が制限されていますが、休日に関する規定もあり、オンオフの切り替えがしやすいのがフリーランスとの違いです。

  2. (2)契約の種類

    フリーランスと労働者は、締結する契約の種類も異なります。

    フリーランスの場合、企業と交わすのは業務委託契約です。業務委託契約では、仕事はどういったものか、それに対していくらの報酬が発生するのかなど、業務に関する具体的な内容が盛り込まれます。

    なお、業務委託契約には2種類あります。ひとつは成果物の納品を目的とした請負契約で、たとえばライターへの記事執筆依頼、イラストレーターへの挿絵作成依頼などがそれにあたります。もうひとつは業務をすること自体を目的とした契約で、このうち法律行為を伴うものを委任契約、それ以外を準委任契約と言います。

    一方、労働者が交わすのは雇用契約です。これにより労働者は、労働に従事する代わりに、使用者から報酬を得る約束を得ることになります。労働基準法第15条では、労働契約の締結の際には、契約期間や就業場所、業務内容、始業・終業時刻などの労働条件を必ず記載しなければならないと定められています。

3、フリーランスに労働基準法は適用されるのか

フリーランスは、前章で見てきたように、労働者と働き方や契約の種類に違いがあるものの、広く捉えれば労働する者です。

では、フリーランスに労働基準法が適用されるのかと言うと、そうではありません。労働基準法第9条による労働者の定義、すなわち事業または事務所に使用されていて、かつ賃金が支払われる者に当てはまらないからです。以下で詳しく説明します。

  1. (1)フリーランスは労働基準法が定める労働者ではない

    厚生労働省によれば、労働基準法第9条が定める労働者に当てはまるかどうかは、使用従属性に関する判断基準と労働者性の判断を補強する要素で判断されます。

    使用従属性に関する判断基準は、指揮監督下の労働かどうか、報酬の労務対償性があるかどうか、のふたつです。すなわち仕事を拒否できるかどうか、勤務時間や場所が決められているかどうかなどと、月給制や時給制が採用されているかどうか、残業代や欠勤控除があるかどうかなどが加味されます。

    一方、労働者性の判断を補強する要素とは、たとえば、仕事で用いるパソコンやその周辺機器が会社から貸与されているなど会社からの支給品があるという事実は、この要素に当てはまる可能性が高いでしょう。

    このような判断基準とフリーランスの特徴を照らし合わせた場合、どうなるでしょうか。

    フリーランスは、仕事を受けるかどうか本人が自由に決められます。勤務場所や時間が拘束されているわけでもありません。また月給制や時給制でもなければ、残業代がもらえるわけでもありません。

    以上から、フリーランスは、基本的に労働基準法が定める労働者ではない(労働者性は認められない)とみなされます。

    そのため、たとえば発注者がフリーランスに1日10何時間も働かないと終わらないような業務を依頼しても、発注者は報酬さえ支払えば法律違反に問われることはありません。報酬と作業時間を計算すると、最低賃金法が定める最低賃金を大きく下回るような業務を依頼したときでも同様です。

    また、労働基準法第24条で定められている月1回以上の賃金支払いをする必要もないため、たとえば報酬を3か月や半年後に支払ったとしても問題ないことになります(ただし例外あり・詳細は後述します)。

  2. (2)フリーランスの「労働者性」が認められるパターン

    ただ、フリーランスであったとしても、厚生労働省が明示している判断基準に抵触する場合は労働者性が認められることがあります。拘束時間が決まっていて、その間、取引先から常に指示出しがある、というような正社員と変わらない働き方をしているときは、労働者性があるとみなされる可能性が高いでしょう。

    もし労働者と判断された場合、使用者は労働基準法や最低賃金法に基づいて賃金を計算し、労働時間分の給与を支給しなければいけません。これまでに1日8時間を超えて働かせていたり、深夜労働をさせていたりするなら割増賃金の支給も必要です。半年以上前から労働者と変わらない状況で働かせていたのであれば、年次有給休暇の付与する必要もあります。

4、フリーランスに適用される法律や気を付けるべき点

フリーランスは、労働基準法による保護が原則としてはありません。そのため、自由な働き方ができる反面、ときに不利な立場に追い込まれてしまうことがあります。保護がないというのを利用して、あえて雇用契約から請負契約に切り替える事業者もいないわけではありません。

しかし、いくつかの要件を満たしたとき、フリーランスでも適用される法律があります。最後に、その詳しい内容と気を付けるべき点をご紹介します。

●下請法による保護
下請法とは、下請代金支払遅延等防止法の略称で、下請け業者の権利保護と公正な下請け取引実現のために制定された法律です。

この法律では、受注者(下請事業者)と取引する発注者(親事業者)に対し、契約書交付や保存、支払期日の設定などの義務を課しています。また、発注者は下請代金を正当な理由なく減額してはいけないこと、役務の提供から60日の期間内に報酬の支払をしなければならないことなどの事項も定めています。

このように、下請け業者が不利にならないようにさまざまな規制を定めているのが下請法ですが、適用される企業に条件があることに注意が必要です。

たとえば、取引内容が自動車の製造の場合、親事業者が資本金3億円超かつ下請事業者が資本金3億円以下(あるいは親事業者が資本金1000万円超3億円以下、下請事業者が資本金1000万円以下)でなければ適用されません。

●独占禁止法による保護
独占禁止法とは、事業者が自由に活動をするために不正な取引を制限する法律です。この法律では、優越的地位を利用した不正取引を規制しています。

たとえばフリーランスが、ある事業者から多量の業務を受注したとしましょう。フリーランスとしては、その業務をこなす時間を作るために、別の注文や取引を断らざるを得ません。言い換えると、フリーランスの売り上げが、ひとつの発注者に大きく依存している状態です。

こうした依存関係にあるときに、たとえば発注者から納品物の修正を何度も依頼されたり、取引の対価を著しく減額されたりしたとしたら、どうでしょうか。フリーランスは、ここで断って注文自体がなくなってしまったら困る……と、それを受け入れざるを得ない状況に追い込まれてしまうでしょう。

このような取引が行われた場合、優越的な地位を利用した不正取引に該当するとして、法律違反に問える可能性があります。

ただし、優越的な地位については、実際は今の例で示した依存関係以外にも、発注者の市場における地位や、フリーランスが取引先を変更できる可能性などを見て、総合的に判断されるのが通例です。依存関係だから法律違反ではなく、個々の事情によって変わることには注意したほうがいいでしょう。

5、まとめ

本記事ではフリーランスと労働基準法の関係性や、フリーランスを保護する法律の詳細を見てきました。

フリーランスでも労働者性が認められれば、通常の労働者と同様に残業代の支払いや年次有給休暇の取得を請求することが可能です。また、フリーランスという立場のままだったとしても、取引内容によっては法律に抵触していることを理由に損害賠償の請求もできます。

ただ、発注先に対して法律違反を指摘する場合、事前にその法律の特徴をよく知っておく必要があるでしょう。ですので、それが難しいようでしたら、迷わず弁護士に相談することをおすすめします。ベリーベスト法律事務所 松山オフィスには、労働問題に精通した弁護士が在籍していますのでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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