5ちゃんねるで誹謗中傷の投稿をされた! 削除依頼の方法とは?
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匿名の電子掲示板「5ちゃんねる」をご存じでしょうか。インターネットのことなら、「愛媛県松山市には関係ない」ことと思う方もいるかもしれません。しかし、ありとあらゆるジャンルの掲示板を展開している5ちゃんねるでは、当然、松山市のことをテーマとする掲示板も設置されています。
完全匿名であるがゆえに、その書き込みの真偽は誰にもわかりません。膨大な書き込みの中には、個人を特定させるような投稿や誹謗中傷、名誉毀損(きそん)にあたる投稿もあります。それらは5ちゃんねる以外のサイトにも次々とコピーされ拡散していくこともあるでしょう。
5ちゃんねるで誹謗中傷などの被害を受けた方は、精神的につらい思いをするだけでなく、実生活に影響がでてしまうケースも珍しくありません。ネットへの投稿は、すなわち全世界に公開することと同義です。場所を問わずに書き込みができることから、誹謗中傷やデマを真に受けてしまうと、松山市にお住まいの方はもちろん、そうではない方も含め、誰もが被害者にも加害者にもなってしまうことがある可能性があるのです。
この記事では、5ちゃんねる上に誹謗中傷の書き込みをされて迷惑をこうむっている方に向けて、投稿を削除する方法を解説します。
1、5ちゃんねるとは
5ちゃんねる(5ch.net)とは、政治、ビジネス、エンターテインメント、グルメなどさまざまな情報を盛り込んだ日本最大規模の電子掲示板です。ありとあらゆる分野を各カテゴリに分け、カテゴリ内ではさらにトピックごとにスレッドと呼ばれる掲示板が立てられ、多くの書き込みがなされています。
もしかしたら「2ちゃんねるなら聞いたことがあるけれど、5ちゃんねるは知らない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。たしかに2ちゃんねるは、過去、完全匿名という触れ込みからか、さまざまな犯罪で犯行予告に使われたことから、ニュースなどを通じて一躍有名になった……という経緯があります。
5ちゃんねるは、紆余(うよ)曲折を経て、平成29年10月に2ちゃんねるから名称を変更した電子掲示板サイトです。内容についても、2ちゃんねると基本的に変わりません。
しかし、5ちゃんねる(5ch.net)と2ちゃんねる(2ch.sc)は別々のサイトとして存在しています。見た目も似ているため、非常に混同しやすく、投稿の削除依頼する際は気をつける必要があるでしょう。
2、5ちゃんねるへの投稿を削除依頼する方法3種
5ちゃんねるにおいて、削除依頼する方法は、3種あります。それぞれの方法と対応基準などについて、メリットやデメリットを含めて知っておきましょう。
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(1)メール
5ちゃんねるに対してメールで削除依頼する方法です。5ちゃんねるが指定しているメールアドレス宛てに、指定の様式で削除依頼を行います。
メールで削除依頼できる内容は、5ちゃんねるで指定されています。具体的には、以下を代表する内容の書き込みに限られているようです。- 個人の取り扱い(個人名・住所・所属/誹謗中傷/私生活情報/電話番号/メールアドレス)
- 差別・蔑視
- 5ちゃんねる削除ガイドラインで特殊な扱いになっている方からの依頼(法人・団体など)
- 警察へ通報済みの方
- 裁判所より削除命令の判決を受けた当事者、裁判所の仮処分
- 5ちゃんねるが、過去に受けた請求から、表現の自由を配慮したリーガルマインドを持った弁護士と認めた者
なお、単に「削除してほしい」と依頼しても対応してくれないでしょう。根拠や理由を明確にし、具体的に示したうえで、体裁も指定された内容に準じたうえで、削除依頼を行うことが求められます。
5ちゃんねるに直接メールする方法であるため、依頼主の氏名や依頼の事実などが公開されることはありません。もっとも手軽で費用もかかりませんし、先方の対応が早ければすぐに削除してもらえる可能性もあります。
一方で、削除依頼には本人確認資料が必要であり、免許証やパスポートなどの身分証を提示することになります。5ちゃんねるの管理会社はフィリピン法人であるため、外国の法人に個人情報を提示することに抵抗感がある方には難しい方法といえます。 -
(2)削除要請フォーム
5ちゃんねるの削除要請フォームから依頼をすることもできます。
5ちゃんねるによると、削除要請フォームは、いわゆる「通報」という位置づけにあるようです。メールに近い手軽さがありますが、削除依頼の事実と依頼内容が公開されます。
削除依頼が行える内容は、「(1)メール」で示したもののほかにも、「荒らし依頼」や「企業への誹謗中傷」なども依頼できます。しかし、内容によって削除依頼を受け付けているスレッドが区別されているだけでなく、ガイドラインに該当しない内容の場合は、「依頼が却下される」と明記されています。
また、原則、すべての削除依頼が公開されることから、別の誹謗中傷や迷惑行為などが発生する恐れがあります。個人が、個人のプライバシー侵害や名誉毀損(きそん)などの理由で削除依頼をするのであれば、削除要請フォームではなくメールを検討する方がよいでしょう。 -
(3)削除整理フォーム
個人情報などが含まれているわけではないものの、削除を依頼したいときは「削除整理フォーム」で申請を行うことになります。
削除要請フォーム同様、削除依頼内容はすべて公開されます。削除依頼理由が誰にでもわかるように明記する必要があるほか、削除しないことを非難しないよう注意喚起されています。 -
(4)5ちゃんねるの書き込みは削除されにくい?
削除されにくくなっているのは、原則、5ちゃんねるでは「表現の自由は最大限保障されるべき」という立場をとっていると思われるためです。そのため、他人の権利を侵害すると明確に判断できる書き込みのみ削除対応を行い、そのほかの投稿については静観する傾向があります。
そのため、裁判所から削除に関する仮処分決定を取得する方法や、弁護士による削除依頼が有効とされています。法的手段を用いた削除依頼であることから、原則的にはサイト管理者は削除に応じることになるためです。
なお、申し立ては個人でも行うことができますが、5ちゃんねるの場合は相手がフィリピン法人であることから、申立書を英訳する必要があり、送達に時間を要します。決定までに10ヶ月程度かかるといわれています。
3、2ちゃんねるへの投稿を削除する方法
5ちゃんねると2ちゃんねるは、その体裁や雰囲気が酷似しています。しかし、それぞれ運営が異なる違うサイトです。「誹謗中傷を5ちゃんねるへ書き込まれたと思っていたら、2ちゃんねるだった」ということもあるでしょう。
削除依頼方法はもちろん、窓口、削除の運用方法も異なります。その違いを見分けるのは、インターネット上における住所ともいわれるURL(正式にはURL内のドメイン)です。5ちゃんねるでは、「https://」のあと、いくつかのアルファベットが入り、「.5ch.net/」と続きます。2ちゃんねるでは、「2ch.sc/」が続きます。
2ちゃんねるへの削除依頼は、次の方法があります。
- 削除依頼スレッドから行う
- 裁判所へ仮処分の申し立て
削除依頼スレッドで依頼する場合、削除対象は5ちゃんねると基本的に同じです。しかし、依頼主の氏名を記載する必要があるため、個人名を特定される危険があります。ただし、裁判所の仮処分を経て削除する場合、こちらは英訳が不要で、仮処分決定までの期間は2週間程度が目安となります。
仮処分決定の正本をPDF化してサーバーへアップロード、リンクへの記載を行うことで削除に対応してもらえます。このとき、依頼者氏名の部分を黒塗りすることで、個人名の特定を回避することができます。
ただし、5ちゃんねるとは異なり、メールでの削除依頼には対応していません。すべての削除依頼が公開されることになる点に注意が必要です。
4、弁護士への依頼が現実策
5ちゃんねるへの書き込みを削除してもらうだけであれば、個人でも対応可能です。しかし、弁護士を介して削除を依頼することによって、より確実に削除してもらえる可能性が高まります。前述のとおり、5ちゃんねる側が、5ちゃんねるが認めた弁護士からの依頼に応じる姿勢があることを明言しているため、弁護士経由で依頼することで削除される可能性が高まるためです。
裁判外の方法となるため、スピーディーな対応が期待できるうえに、弁護士費用も高額にはなりづらいといえます。それ以上に、依頼主の個人情報が守られる点も大きな利点となるでしょう。
いずれにせよ、個人で削除請求を行っても、万が一削除依頼に応じてもらえず、裁判所から仮処分の決定を取得しなければいけない場合は、弁護士のサポートが必要になります。仮処分の申し立ては一般の方が取り組むには非常に困難な内容であるうえに、時間も労力もかかります。その間に誹謗中傷の投稿は日々拡散されていきますので、速やかに法律の知識がある弁護士に依頼することが望ましいでしょう。
あらかじめ、弁護士に依頼しておくことによって、スムーズな対応が望めるといってもよいでしょう。
なお、2ちゃんねるへの削除依頼においても同様のことがいえます。5ちゃんねるだけでなく、2ちゃんねるも含めた電子掲示板サイトでの削除依頼は、弁護士に任せるのが賢明でしょう。
5、ネットの削除業者には気をつけよう
近年では、弁護士ではなく、削除業者を名乗る企業が5ちゃんねるへの書き込み削除に対応するという広告が散見されます。しかし、5ちゃんねるを含めた電子掲示板サイトへの削除依頼は、法律上、弁護士しか行うことができません。
弁護士以外の者が行うと「非弁行為」といって弁護士法に抵触する恐れがあります。実際に、インターネット上の個人情報削除を請け負うという削除代行業者に対し、非弁行為だとする判決が出ています(東京地裁平成29年2月20日)。
そもそも、個人情報の削除代行は、法律のスペシャリストである弁護士でなければできない仕事です。弁護士が在籍していない業者が削除依頼を受け付けること自体が違法ですし、費用だけ請求して削除しないといった悪質な削除業者も存在します。一見、コストを抑えられるような気がするかもしれませんが、その代償は大きくなる可能性もあります。
5ちゃんねるの投稿を削除依頼するには、自分で行うか、弁護士に依頼するかの2択になると覚えておきましょう。
6、まとめ
今回は、5ちゃんねるで誹謗中傷などの書き込み被害に遭われている方に向けて、投稿を削除する方法を解説しました。
インターネットを介して行われた投稿は、5ちゃんねるに限らず強い拡散力があり、半永久的に残る可能性もあります。この投稿を、個人の力だけで削除することは難しいケースも多々あるでしょう。
少しでも早く安心した生活を送るためには、速やかに弁護士のサポートを受けることをおすすめします。法律だけでなく、昨今のIT事情にも詳しい弁護士であれば、最新情報を踏まえ、削除依頼に速やかに対応してもらえるでしょう。
ベリーベスト法律事務所では、電子掲示板サイトへの削除依頼などの実績が豊富な弁護士が、最適な解決方法をご提案します。5ちゃんねるへの誹謗中傷の書き込みでお困りであれば一度ご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています