夫や未成年の息子が痴漢再犯で逮捕された! 量刑や起訴など初犯との違いは?

2019年09月03日
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夫や未成年の息子が痴漢再犯で逮捕された! 量刑や起訴など初犯との違いは?

松山東警察署によると、平成21年6月、松山市内にあるマンションの駐車場で女性に抱きつくなどの行為をしたとして、強制わいせつ容疑で男が逮捕したことが発表されています。

あなたのご主人やご子息がこのような痴漢行為で逮捕された場合、警察から突然連絡が来ることが多いものです。寝耳の水の内容に気が動転するのも無理はありません。特に、再犯の場合はまた裏切られたという気持ちが大きく、ショックもひとしおでしょう。

それでも、過剰に重い処罰を科せられないようにするためには、再犯の場合でも初犯と同様に、奥さまやお母さまのサポートが必要不可欠です。状況によっては大きく今後の処遇が変わることになるでしょう。まずは冷静に対応しなければなりません。そこで本コラムでは、ご家族が痴漢再犯の容疑で逮捕された方に向けて、今後の流れや量刑、対策について松山市の弁護士が解説します。

1、初犯と再犯の違い。罰則、起訴や示談の可能性、未成年の場合は?

ご主人やご子息が再び逮捕された場合、前回の痴漢逮捕との量刑や処遇の違いが気になるのではないでしょうか。ここでは、初犯と再犯の罰則の違いや起訴と示談の関係などの違いを説明します。

  1. (1)罰則の違い

    松山市内において痴漢で逮捕された場合、愛媛県迷惑行為防止条例違反、もしくは強制わいせつ罪のどちらかに問われることになると考えられます。

    • 迷惑防止条例違反:6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金、常習的に行っている場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金
    • 強制わいせつ罪:6ヶ月以上10年以下の懲役


    迷惑防止条例違反は、服の上から相手の体を触るなどの軽微な痴漢行為の場合に適用され、服の下に手を入れるなどの悪質な行為は強制わいせつ罪に問われる可能性があります。強制わいせつ罪に問われた場合は、罰金刑はなく懲役刑のみですので、有罪判決となり執行猶予がつかなければ、服役しなければなりません。前回の逮捕で有罪となり執行猶予期間中に再び、逮捕されて有罪になれば両方の刑期を合計した期間服役することになります。

    ここでは、痴漢で適用されることが多い、迷惑行為防止条例違反の量刑を想定して説明します。通常、迷惑行為防止条例違反で逮捕されると、初犯の場合は略式起訴されて、罰金刑に処される可能性が高いでしょう。罰金はおおむね30万円ほどと言われています。起訴されたとしても、被害者との示談が成立していれば、執行猶予付き判決が望める可能性があります。また、逮捕後早い段階で、被害者との示談が成立していれば、不起訴処分を勝ち取れるケースも少なくありません。

    再犯の場合は、初犯よりも重い量刑に処される可能性が高いものですが、被害者との示談を成立させることで、不起訴に持ち込めることもあります

  2. (2)前回の罰則と今回の痴漢をしたタイミング

    前回の痴漢で、執行猶予付き判決が下されていた場合、今回の逮捕が執行猶予期間中であれば、刑事裁判での判決が非常に重要になります。執行猶予期間中に逮捕されて有罪になった場合は、前回の刑期と合算した期間、服役しなければならないからです。
    ただ、執行猶予期間中に再度痴漢で逮捕されて有罪になった場合でも「再度の執行猶予」が見込める可能性もあります

  3. (3)起訴される可能性の違い

    痴漢で初めて逮捕された場合は、被害者との示談が成立していれば不起訴処分になる可能性が高い傾向にあります。しかし、再犯の場合は、初犯よりも不起訴処分となるハードルが高く、示談が成立しているからといって必ずしも不起訴になるとは限りません。
    しかし、再犯でも示談成立させることで不起訴処分になることはありますし、起訴されても執行猶予付き判決が下るなどの、軽い処分で済む可能性があります。再犯でも初犯と同様に、示談が重要になりますので、早急に示談に向けて手続きを進めましょう

  4. (4)示談の成立と示談金の額に違い

    示談は、被害者との任意の交渉であり、金額に法的な定め等はありません。被害者との示談に初犯か再犯かは関係ないと考えられますが、再犯であることが被害者に伝わると、被害者感情が強まり相場内での示談が難しくなる可能性はあります。
    また、同じ相手に2度目の痴漢行為を働いたとなると、示談金の高額化は避けられません。
    示談成立の困難さについても、再犯であることが伝わっているかどうかによって、異なります。また被害者の、被害感情の大きさにも左右されますので、再犯だからといって必ずしも示談が難しくなるとはいえないでしょう。

  5. (5)未成年の痴漢再犯における違い

    痴漢をした本人が14才以上20歳未満の未成年の場合は、少年法の規定によって家庭裁判所に送致されます。ただ、家庭裁判所に送致される前は成人と同様に警察や検察に身柄が拘束されて、取り調べを受けることになります。その期間は成人と同様の72時間です。72時間経過すると、家庭裁判所に送致されて、今後の処遇について検討されます。
    必要に応じて少年鑑別所に収容されることもあります。その後、適切な調査やテストを経て、少年審判が開かれます。
    少年が起こした犯罪では、罪を裁くのではなく教育的見地から手続きが進められます。更生と社会復帰を目指した取り組みが行われますので、罪の重さではなく、反省の度合いや再犯の可能性などを考慮した判断になります。

    つまり、再び痴漢をしてしまった場合は、反省しておらず、再度非行に走る可能性が高いとみなされて、厚生施設や少年院への保護措置が取られる可能性が高いということです。それを避けるためには、逮捕後すみやかに弁護士に付添人となることを依頼し、少年のサポート体制を整えて、身柄拘束を回避するための活動を始めなければなりません

2、性犯罪加害者の家族が知っておくべき再犯の問題と今後の対応

痴漢などの性犯罪は再犯率が高い犯罪です。再犯する背景はさまざまですが、心の病気や依存症などにより罪を重ねてしまう方も少なくありません。痴漢の再犯で逮捕されたご主人やご子息を持つ方は、さらなる再犯を防ぐための対策についても知っておく必要があるでしょう。

  1. (1)わかっていても止められない依存症

    痴漢の再犯の陰には依存症などが隠れているケースが少なくありません。自分でも悪いことだとわかっているのに、やめられない場合は、家族だけでなく専門家によるサポートが必要です。具体的には以下のような対策を取ることで、再犯の可能性を軽減できるでしょう。

    • 医師のカウンセリングを受ける
    • 依存症自助グループに参加する
    • 通勤、通学方法を変える(電車やバスに乗らない)
    • 家族が監視できる体制を作る


    まずは弁護士に相談した上で、医師のカウンセリングを受けるなど、依存症の治療に前向きに取り組んでいきましょう

  2. (2)定職につけない、社会的信用を失う

    再犯で逮捕されて身柄の拘束が続く場合、社会的信用を失ってしまいます。会社や学校はやめることを余儀なくされてしまい、収入が途絶えてしまうことも想定できます。ご子息の場合は、前科がついたことで結婚や就職にも大きな影響が生じることもあるでしょう。
    そうなった場合、自暴自棄になりさらに罪を重ねる可能性がありますので、ご家族の心理的サポートが必要です

  3. (3)損害賠償請求の問題

    痴漢行為は、刑事事件として刑法や迷惑行為防止条例などで罰せられます。それと同時に、被害者への損害賠償義務が生じます。被害者に示談金を提示し示談が成立すれば問題ありませんが、示談に応じてくれない、示談金がないなどのケースでは、損害賠償請求訴訟を提起される可能性もあります。
    ただ、多くのケースでは弁護士が間に入ることで示談は比較的スムーズに進みますので、それほど心配することはないでしょう。ご家族は、示談のために示談金を用意しておいてください。

  4. (4)弁護士なら早期の身柄釈放で治療に向けて動き出せる

    痴漢の再犯で逮捕された場合、何よりも重要なのは身柄の早期釈放です。痴漢で逮捕されると、逮捕後は72時間、その後勾留されると最大20日間身柄が拘束されます。さらに起訴されて保釈請求が認められなければ刑事裁判が続く限り身柄の拘束が続いてしまいます。

    これを回避しなければ、社会的影響が甚大となり社会復帰が難しくなります。そのために家族ができることは弁護士に依頼することです。逮捕後72時間以内に弁護士に依頼することで、勾留回避のための弁護活動が可能になります。勾留を回避できれば、在宅事件として自宅にいながら取り調べ等を受けられますので、会社や学校への影響は最小限になります。
    また、被害者との示談を成立させることで、早期の釈放が見込めます。示談を成立させれば、起訴を回避できる可能性が高まりますし、起訴されても量刑が軽くなる可能性があります。

3、まとめ

痴漢再犯で逮捕されると、起訴されやすい、量刑が重くなるなど、今後の社会生活に大きな影響を与える可能性は否定できません。弁護士に依頼して早期に身柄釈放のための弁護活動や、示談交渉を行うことで、社会的影響を最小限に抑えられる可能性を高められることでしょう

ご主人やご子息が痴漢で再逮捕された場合は、早急に弁護士に依頼して弁護活動をスタートしてください。まずはベリーベスト法律事務所 松山オフィスでご相談を承ります。現状を確認した上で、今取るべき最善の行動をアドバイスするとともに、最適な弁護活動を行います。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています