メルカリで盗品を販売してしまった!初犯の窃盗罪で逮捕された際の対処法
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スマートフォンの普及とともにユーザーが急増した「メルカリ」。人気の秘密は、フリーマーケットのような気軽さと不用品を個人間で売買できる便利さです。
一方で、万引きされた商品など盗品が出品されるケースもあるようです。盗品を販売すると問われる可能性のある、盗品関与罪の認知件数総数は、令和元年、警察庁の統計で889件に上っています。
また、他人やお店のものを盗むと窃盗罪にあたる可能性もあります。初犯だった場合、前科がついてしまうのか気になる方もいらっしゃると思います。
そこで、窃盗した場合の量刑や逮捕の流れ、窃盗の初犯で逮捕された際の対処法など詳しく解説します。
目次
- 1、メルカリで盗品を販売した時の罪
- (1)盗品等関与罪で処罰される可能性がある
- ①盗品等関与罪とは?
- ②なぜ処罰されるのか?
- ③盗品等関与罪の対象となるものとは?
- ④どのような行為が処罰されるのか?
- ⑤メルカリで盗品を販売した場合の罪
- (2)窃盗罪の初犯の刑期は何年?
- (3)窃盗罪の時効
- ①刑事の時効
- ②民事の時効
- 2、メルカリで売買を繰り返すと実刑となる可能性
- 3、メルカリで盗品を販売して逮捕されたら?
- (1)現行犯逮捕と後日逮捕
- ①現行犯逮捕
- ②後日逮捕
- (2)窃盗罪の逮捕条件
- ①現行犯逮捕の条件
- ②後日逮捕の条件
- 4、メルカリで盗品販売して逮捕されても不起訴になるケース
- 5、弁護士に依頼して不起訴処分を勝ち取る
- (1)不起訴処分を勝ち取るためやるべき2つのこと
- ①被害者に対する弁償、示談
- ②再犯の可能性を否定する弁護活動
- 6、まとめ
1、メルカリで盗品を販売した時の罪
メルカリで盗品を販売する行為は、どんな罪になるのでしょうか。
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(1)盗品等関与罪で処罰される可能性がある
メルカリで盗品を販売すると、盗品等関与罪で処罰される可能性があります。
①盗品等関与罪とは?
盗品等関与罪は刑法第256条に規定されています。刑法256条- 盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、3年以下の懲役に処する。
- 前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金に処する。
盗品等関与罪とは、これらの「盗品等無償譲受罪」「盗品等運搬罪」「盗品等保管罪」「盗品等有償譲受罪」「盗品等有償処分あっせん罪」のことを意味し、略して盗品罪と言われることもあります。
②なぜ処罰されるのか?
盗品等関与罪がなぜ犯罪とされ、2項で規定される罪についてはなぜ懲役と罰金の併科という、窃盗や詐欺よりも重い刑罰が定められているのでしょうか。
それは、盗品等関与罪が、窃盗の被害者が盗品を取り戻すことを困難にするだけでなく、窃盗等を助長する性格をもつため、類型的に予防の必要性が高いからです。
③盗品等関与罪の対象となるものとは?
盗品等関与罪の対象となるのは一定の盗品です。
盗品とは、窃盗だけでなく詐偽や強盗などによって取得された財物のことであり、不動産や動産、金銭など財産的価値のあるものを意味します。
ここで財産的価値とは必ずしも経済的価値を意味しません。個人的な思い出の物や市場での交換価値のないものでも、被害者が財産として価値があると認識していれば窃盗罪は成立します。
④どのような行為が処罰されるのか?
盗品関与罪で処罰される行為は、盗品の「無償譲受」「運搬」「保管」「有償譲受」「有償の処分のあっせん」です。「無償譲受」
対価を払わずに財物をもらったり、利息を払わずにお金を借りたりすることです。
たとえば、万引きした商品をただでもらう場合などがあります。
譲り受ける際に盗品であることを認識している必要があります。2項に規定される罪よりも法定刑が軽くなっています。
「運搬」
窃盗を行なった者の利益になるように、盗品を移動させることです。
有償、無償は問われません。盗品であることを認識している必要があり、知らなかった場合は除外されます。
「保管」
窃盗を行なった者から依頼されて、盗品を占有して管理することです。
有償、無償は問われません。盗品であることを認識していることが必要ですが、占有を始めた当初は知らなくても、途中から知った上で占有を継続した場合も含まれます。
「有償譲受」
窃盗を行なった者から盗品を買い取ったり、交換により入手したりすることです。
対価を払うことと、取得する際に盗品であることを認識している必要があります。たとえば、万引きした商品を買い取る場合です。
「有償の処分のあっせん」
盗んだものを売買、交換、質入など有償で処分することに関与することです。
あっせん行為が有償か無償かは問われません。あっせん行為が行われればこの罪にあたり、売買等が成立する必要はありません。
⑤メルカリで盗品を販売した場合の罪
窃盗などをした犯人自身がメルカリで盗品を販売することは、盗品関与罪には当たりません。
しかし、④で紹介した行為のいずれかに当たる場合は、盗品等関与罪が成立する可能性があります。
たとえば知人が盗んだ物を盗品と知りながら運搬・保管したり、知人に頼まれて盗品であることを知りながら自分のアカウントで盗品を販売した場合などです。 -
(2)窃盗罪の初犯の刑期は何年?
メルカリで販売する商品を店から盗むと窃盗罪で逮捕される可能性があります。
窃盗罪は、刑法第235条には10年以下または50万円以下の罰金に処すると規定されていますが、初犯の場合はどのくらいの刑罰になるのでしょうか。
窃盗罪の初犯で、盗んだものの金額が数千円から数万円の少額の被害である場合は、正式な裁判の手続きまで進むことはほとんどありません。
特に被害者との間で示談が成立している場合は、不起訴になったり、起訴されたとしても罰金刑や執行猶予ですんだりすることがほとんどです。
ただし、窃盗の被害が重大なケースや他の悪質な行為を伴うケースでは、初犯であっても実刑となる可能性があるでしょう。
たとえば、住居侵入をして窃盗をしたケースなどは、実刑となる可能性があります。 -
(3)窃盗罪の時効
窃盗罪にも時効はありますが、刑事と民事に分けて考える必要があります。
①刑事の時効
刑事の時効とは、公訴時効のことで、時効が成立すると検察官は起訴することができなくなるというものです。
窃盗罪の公訴時効は7年で、犯罪行為が終了した時から進行するので、窃盗の行為が終了して7年経過すると検察官は起訴できなくなります。
②民事の時効
窃盗罪については民事の時効もあります。民法724条が損害賠償請求権の消滅時効について規定しており、窃盗罪の損害賠償の請求権は3年で時効消滅します。
時効が進行するのは「損害および加害者を知った時」からで、3年以内であれば加害者に対して損害賠償を請求することが可能です。
2、メルカリで売買を繰り返すと実刑となる可能性
では、店で万引きした商品をメルカリで売買を繰り返すと、警察に捕まって実刑となる可能性はあるのでしょうか。
メルカリで販売するために店の商品を万引きすることは窃盗罪になり、「10年以下の懲役、または50万円以下の罰金」で処罰されます。
先述のとおり、初犯であれば実刑判決を受けることはほとんどありません。被害者との間で示談が成立している場合は、不起訴になったり、起訴されても罰金刑や執行猶予ですんだりすることがほどんです。罰金刑を受けるとしても10万円以下がほとんどです。
ただし、窃盗罪の初犯が必ずしも執行猶予になるわけではありません。たしかに初犯であれば不起訴や執行猶予になる可能性は高いのですが、被害額が極めて大きい場合や犯行に業務性・反復性が認められる場合には実刑になることがあります。
執行猶予に持ち込むためには、被害者との示談を成立させることが大きなポイントです。
3、メルカリで盗品を販売して逮捕されたら?
メルカリで盗品を販売すると逮捕される可能性がありますが、実際に逮捕される場合にどうなるかについて解説します。
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(1)現行犯逮捕と後日逮捕
窃盗罪で逮捕される場合は、現行犯逮捕と後日逮捕の2つのパターンに分類されます。
①現行犯逮捕
窃盗罪における現行犯逮捕とは窃盗をした日に現場で逮捕されることで、加害者が窃盗を行った時と場所で被害者や駆け付けた警察官などに取り押さえられる場合がほとんどです。被害が重大な場合や犯行手段が悪質な場合に、その場で現行犯逮捕される可能性が高くなります。現行犯逮捕されると、身柄を拘束されてそのまま警察へ連行されるのが一般的です。
具体例
①被害者が留守中に住居へ侵入して、多額の金品を盗み、帰宅した被害者に現行犯逮捕された。
②店舗で店員が見ていないのを見計らって繰り返し商品を盗み、気付いた店員に現行犯逮捕された。
②後日逮捕
窃盗罪における後日逮捕とは逮捕状が出てから逮捕されることで、窃盗を行った当日ではなく翌日以降に逮捕状が出されて警察官により逮捕されます。
窃盗罪で後日逮捕されるのは、加害者が逃亡したり証拠隠滅したりする可能性が高いためです。その可能性が低ければ、警察はわざわざ裁判所で逮捕状を請求したりはしません。
具体例
①加害者が被害者から財布を盗ったが、多くの目撃者やはっきりとした証拠があった。それにも関わらず、理由もなく容疑を否認しつづけたため後日逮捕された。
②2人の加害者がお店で商品を盗んだ。2人の加害者は相談して証拠隠滅を図ろうとしたため後日逮捕された。 -
(2)窃盗罪の逮捕条件
窃盗罪にも逮捕条件がありますが、現行犯逮捕と後日逮捕の場合で逮捕条件は違います。
①現行犯逮捕の条件
窃盗罪で現行犯逮捕されるのは、加害者が物を盗んだ現場でその行為を確認した者によって逮捕される必要があります。つまり、窃盗の行われたその時・その現場だけに限定されるのです。
目撃者や被害者の知人、現場にやってきた警察官により逮捕される場合が多くなります。現行犯逮捕の場合は、逮捕状が発行されなくても逮捕が可能です。
②後日逮捕の条件
窃盗罪で後日逮捕されるには、警察官が裁判所へ逮捕状を請求して発行される必要があります。
逮捕状が発行されるには、被疑者が罪を犯したことを疑うのに相当な理由である「逮捕の理由」と被疑者の逃亡や証拠隠滅のおそれがあるという「逮捕の必要性」が必要です。
4、メルカリで盗品販売して逮捕されても不起訴になるケース
メルカリで盗品販売をして逮捕されても必ず起訴されるわけではなく、不起訴になるケースもあります。
逮捕されたとしても不起訴になるのは、以下のような事例です。
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(1)私選弁護士が示談を成立させて不起訴処分となった事例
事件発生の経緯
財布を盗んだ容疑で逮捕。国選弁護人が選任されていたが、国選弁護人との折り合いが悪く、心配した奥様から私選弁護人に替えたいとのことで問い合わせ。相談~解決まで
Aさんは、勾留中の心細さと国選弁護人との弁護方針の相異から投げやりな心理状況となっていましたが、私選弁護人として選任された弁護士とのコミュニケーションを通して徐々に前向きになりました。
幸いにも、事件当初は示談を拒んでいた被害者との示談もまとまり、無事不起訴処分となりました。解決のポイント
国選弁護人は、裁判所から選任された者であるため、選ぶことはできません。
私選弁護人として、解決に向けて共に頑張ることができる弁護士を見つけることで、本人の精神的サポートを含めた解決を図ることができました。引用元:財布を盗んだ容疑で逮捕。国選弁護人から私選弁護人にしたことによって前向きになり、被害者との示談もまとまり、不起訴処分
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(2)前科ありでも窃盗罪が不起訴処分となった事例
事件発生の経緯
Aさんは、自宅近くのスーパーマーケットで万引き(500円相当)をし、その後警察署に連行され、夫が身元引受人となり、身柄解放されました。
本件以前に、万引きで前歴2件、前科1件(罰金20万円)がありました。相談~解決まで
Aさんは、永住権を有する外国人であり、本件の処分によって、永住権等に影響がでることを懸念していました。
Aさんは、ぜんそくをわずらっており、本件当時、咳止めの薬を常用しており、咳止め薬を飲んでいる際にお酒を飲むことは、その処方上禁止をされていましたが、Aさんは母国からの友人が来日していたことから併用をしてしまいました。
本件は、併用によって、相談者の意識がかなり薄れている状態で行われたものであったため、その点を意見書で詳細に説明し、不起訴処分となりました。解決のポイント
Aさんが、診察券、友人を母国から呼び寄せた際に書類等を所持していたため、意見書を作成する際に、説得力のある意見書を作成することができた。
また、口頭でも担当の捜査官に連絡をとり、示談交渉を試みたが失敗に終わったこと、本件が、特殊な状況下で発生をしたことを丁寧に説明した結果、不起訴処分となりました。 -
(3)余罪ありでも追起訴前に示談成立し、不起訴処分となった事例
事件発生の経緯
Aさんが、夜間、人のいなくなった建物に侵入し、物品を盗みました。Aさんは当初から犯行を認めていました。相談~解決まで
逮捕の理由となった事件のほか、別の機会に窃盗を行ったとの余罪がありました。当事務所は、逮捕の理由になった事件について起訴された後にご依頼を受けました。余罪の事件について示談を成立させ、こちらは不起訴となりました。一方、起訴された事件は、Aさんの再犯防止策を検討し、Aさんに実践してもらったうえで、これを裁判で取り上げ、結果執行猶予となりました。解決のポイント
検事に捜査のスケジュールを確認し、示談交渉の進捗状況を逐次報告して、検事と折衝を重ねて行ったことで、示談を不起訴という結果に結び付けることができたと考えています。また、受任直後から、Aさんと一緒になって再犯防止策を検討し、実践してもらいました。このように、依頼者と一緒に検討するスタンスが、Aさんの更生に向けた活動を裁判官にしっかりと説明できたことにつながったものと考えています。
(1)~(3)の事例では被疑者と弁護士が円滑なコミュニケーションをとれていましたが、いずれにせよ、不起訴処分や執行猶予を獲得するための活動が重要となることだけは確かなことです。
5、不起訴処分を勝ち取るためやるべき2つのこと
不起訴処分とは、警察が捜査した事件を検察官が起訴をしないと判断することですが、起訴と不起訴では被疑者の後の人生に大きな違いが生じます。
起訴された場合の不利益を考えると、不起訴に持ち込みたいところです。
窃盗罪で逮捕されたら何とかして不起訴処分を勝ち取ることが大切ですが、そのためにはどのようなことをすればいいのでしょうか。
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(1)不起訴処分を勝ち取るためやるべき2つのこと
不起訴を勝ち取るためにやるべきことは、被疑者がどういう主張をするかによって違いがありますが、不起訴処分の90%以上は起訴猶予というデータがあります。
被疑者が罪を犯した事実を争わない場合は、起訴猶予を勝ち取るために弁護活動することになります。そのためには、次の2つがポイントです。
①被害者に対する弁償、示談
起訴猶予を獲得するために最も重要なことは、被害者に対して被害額を弁償して許してもらうことです。
被害者が警察に身柄を拘束されていたり、被害者が被疑者と会うのを拒否したりする場合は、弁護士へ依頼して示談交渉をしてもらいます。
②再犯の可能性を否定する弁護活動
再犯の可能性を否定するためには、弁護士による弁護活動が必要となります。
その具体的な方法としては、以下の2つがあります。
1、反省していることを示す証拠の提出
具体的には反省文を作成して提出しますが、反省していることが感じられない形式的な反省文を提出することに意味はありません。罪を犯したことを後悔し、深く反省していることが検察官に伝わるような文章を書くことが大切です。
2、再犯防止のための方策を実施することの約束
再犯を防止するための方策を行なうことの約束は、検察官の心象に大きな影響を与えます。具体的な方策としては、被疑者に対して強力な影響を与える人物に監督してもらうことや専門家による矯正を受けることなどです。
大切なことは、以上の2点を意識して解決に向けて共に全力を尽くしてくれる刑事弁護士に弁護活動を依頼することです。
6、まとめ
今回は窃盗した場合の量刑や逮捕の流れ、初犯窃盗罪で逮捕された際の対処法など詳しく解説しました。
たしかに初犯で被害額が大きくなければ実刑となる可能性は低いでしょう。
しかし、被害額が大きかったり、繰り返しメルカリで盗んだものを販売していたりすると、執行猶予がつかずに重い刑で処罰される可能性があります。
窃盗罪の初犯で逮捕された場合は、適切な対応をすれば起訴猶予を勝ち取ることが可能です。そのためには全力で弁護活動をしてくれる刑事弁護士へ依頼することが大切です。
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