刑事事件で弁護してほしい!適切な弁護士の選び方を松山市の弁護士が解説
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愛媛県警察の発表によると、平成30年中、8626件もの犯罪が認知され、4074件が検挙されました。近年、犯罪の認知件数はやや減少しているようですが、それでも愛媛県内でこれほどの件数の犯罪が行われ、逮捕者が出ているのです。
もしもご家族が逮捕されてしまったら、まずは弁護士に相談することを考える方はいらっしゃるかと思います。でも、いざとなると、どうやって弁護士を選べばよいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。ここでは、弁護士が行う弁護活動の内容と刑事事件における弁護士の選び方についてべリーベスト法律事務所 松山オフィスの弁護士が解説していきます。
1、刑事事件で弁護士が行う弁護活動とは?
ご家族が逮捕された場合、弁護士に刑事弁護を依頼することができますが、弁護士は具体的には何をするのでしょうか。弁護人による弁護活動について説明します。
なお、刑事弁護を依頼すると、弁護士は「逮捕された人の弁護人」として活動することになります。たとえ、ご家族から依頼された場合であっても、弁護人は逮捕された本人の利益のために活動します。
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(1)弁護人は逮捕された本人とすぐに面会できる
逮捕されると、逮捕された本人(「被疑者」といいます)は、警察の留置施設に入れられ、警察から取り調べを受けることになります。このとき、ご家族であっても、被疑者と面会できません。
弁護士は、依頼を受けると速やかに被疑者のいる留置施設へ行き、被疑者と面会することができます。面会をすることを接見と言うこともあります。弁護人には秘密交通権といって、警察官などの立会人がいない状態で、被疑者と接見することが認められています(刑事訴訟法第39条)。そのため、被疑者は、警察には話したくないことでも弁護人には話すことができます。
接見後には、ご家族に被疑者の様子などをお伝えすることができます。
一方で、一般の方との面会が可能になった後でも、一般の方との面会では、警察官などの立会人が同席することになり、なかなか自由に話ができる状況ではありません。 -
(2)弁護人は取り調べを受けるときの注意や今後の見通しを伝えることができる
弁護人は、接見において、被疑者から事件について話を聞いて、逮捕された理由となっている事実に間違いないのかどうかを確認します。また、被疑者に対して取り調べを受ける際の注意や心構えを教えたり、刑事手続きの流れを説明し、今後の見通しを伝えたりすることができます。
特に取り調べで作成される供述調書については、その後の刑事裁判で重要な証拠となることから、早い段階で被疑者に調書を作成するときの注意点や調書のもつ意味を伝えておく必要性が高いのです。 -
(3)弁護人は身体拘束からの早期解放を目指す活動ができる
弁護人は、逮捕された事実が間違っている場合にはもちろんですが、逮捕された事実を認めている場合であっても、被疑者が早期に身体拘束から解放されるように活動します。
①勾留の回避
逮捕後、被疑者は72時間以内に勾留されるかどうかが決まります。勾留とは、逮捕に引き続き行われる10日から20日間の身体拘束のこといいます。勾留を請求するのは検察官で、勾留決定をするのは裁判官です。
弁護人は、このような長期の身体拘束を避けるために、勾留の理由がないことや勾留の必要性がないことを検察官や裁判官に訴えていきます。このような交渉を行うために、弁護人は、被害者との示談書や身元引受書などの説得材料を収集する活動も行います。
②勾留に対する準抗告
勾留の理由や必要性がないにもかかわらず、勾留が決定されたような場合には勾留許可決定に対して準抗告を申し立てることも可能です。
③正式裁判の回避
勾留された場合であっても、正式な刑事裁判の回避に向けた活動を行います。正式な刑事裁判を起こされると(公判請求といいます)、通常は引き続き数カ月の身体拘束が続くことになります。そこで、事案に応じてではありますが、検察官に対して不起訴処分や略式起訴、即決裁判にすべきことを交渉していくことも可能です。 -
(4)被害者と示談に向けて交渉ができる
傷害事件やわいせつ事件のように被害者がいる事件であれば、弁護人は被害者と示談に向けて交渉することができます。示談が成立すれば示談書を作成しますし、示談を合意できなくとも被害者に被害弁償金を受け取ってもらえた場合には弁護人が報告書を作成します。示談書や報告書は、勾留や公判請求を回避するために有利な資料になりますし、裁判になった場合においても被告人にとって有利な証拠のひとつとなります。
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(5)その他
弁護人は、起訴された後、保釈請求や裁判に向けた準備を行います。裁判の日には被告人の弁護人として公判活動を行います。
2、当番弁護士、国選弁護人、私選弁護人の違い
刑事事件で弁護士を頼みたいと思っても、なんとなく、国選弁護人はあまりよくないから私選弁護人がいいのでは?と思われる方もいるかもしれません。国選弁護と私選弁護の違いや刑事事件で弁護士を選任する方法について説明します。
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(1)当番弁護士
当番弁護士とは、弁護士会に当番を置き、身体拘束をされている被疑者・被告人や家族等から、弁護士会に接見の依頼があった場合に、当番弁護士が1回だけ無料で接見に赴き、被疑者・被告人の相談に応じる制度です。
この当番弁護士は、「1回だけ」「無料」で行われることになっています。そのため、当番弁護士にそのまま刑事弁護を依頼したい場合には、この弁護士を私選で依頼しなければなりません。
当番弁護士を依頼したいときは、各地域の弁護士会に電話で問い合わせしてみるとよいでしょう。 -
(2)国選弁護人
国選弁護人は、本人の置かれている状況により被告人国選弁護と被疑者国選弁護の2種類あります。
被告人国選弁護とは、刑事事件で起訴された被告人が、貧困などの理由で私選弁護人を依頼することができない場合に、被告人の請求または法律上弁護人が必要的であるとして国(裁判所)が選任する弁護人のことをいいます。具体的には、資力が50万円未満であることが必要です。
被疑者国選弁護とは、起訴前であっても勾留されている被疑者が、同じように貧困などの理由で私選弁護人を依頼することができない場合に、被疑者から請求があれば国(裁判所)が国選弁護人を選任します。
もっとも、被疑者・被告人に50万円以上の資力がある場合でも、あらかじめ弁護士会に私選弁護人選任の申し出を行い、当番弁護士として派遣された弁護士が私選弁護を受任しなければ国選弁護人の選任を請求することもできます。 -
(3)私選弁護人
私選弁護人とは、被疑者・被告人またはご家族が、弁護士のなかから自由に選んで、契約を結んだ弁護士のことをいいます。
当番弁護士は各地域の弁護士会から派遣されますし、国選弁護人は国(裁判所)が選任するものなので、被疑者などが弁護士を自由に選ぶことはできません。もし、特定の弁護士に刑事弁護を依頼したいのであれば、その弁護士との間で私選弁護の契約をすることになります。費用については、弁護士との契約で決まります。 -
(4)国選弁護と私選弁護の違いとは?
ご家族が逮捕された場合、国選弁護と私選弁護のどちらがよいのでしょうか。
まず、国選弁護と私選弁護で行うべき弁護活動の内容に違いはありません。私選弁護人ができること、やるべきことは、国選弁護人ができること、やるべきことと同じなのです。 もっとも、国選弁護は被疑者が勾留されてから選任されますが、私選弁護であれば逮捕前であっても選任できるという違いがあります。逮捕前であっても、警察は事件の関係者から任意で話を聞くことがありますので、早い段階から弁護人をつけておけばそれだけ早く弁護活動を開始することができるという点でメリットがあるといえます。
また、国選弁護は、自由に弁護士を選べないこともあり、被疑者・被告人本人やご家族が弁護人に不信感をもってしまうケースもないわけではありません。このような場合には、国選弁護人と話し合って不信感を払しょくできればよいですし、やはり信頼できないということであれば私選弁護を検討してみるのもよいかもしれません(ただし、国選から私選の切り替えは、できない場合や特別な手続きを経る必要がある場合があります)。
3、弁護士が受任できないケースとは?
刑事事件について私選弁護のご相談を受けても、受任できないケースがあります。
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(1)利益相反が生じるケース
弁護士法25条において、弁護士は、利益相反が生じる場合には職務を行ってはならないとされています。
たとえば、共犯関係にある複数の被疑者・被告人については、利益相反の可能性があるため刑事弁護を受任することはできません。たとえ被疑者らがひとりの弁護士に刑事弁護を依頼することに同意していたとしても、利益相反の可能性がある以上、受任は難しいと考えられます。
あるいは、共犯者ではなくとも、事件について利害関係をもつ方からの刑事弁護の依頼についても、被疑者と依頼者とがのちのち対立するおそれがあることから受任が困難な場合もあります。 -
(2)その他
依頼者や被疑者・被告人本人と連絡がとれないような場合、弁護活動に支障がでるおそれがありますので、受任できないことがあります。
また、被疑者・被告人が、弁護人に対してすべてを明かそうとしない場合、やはり十分な弁護活動ができないおそれがありますので、受任できないことがあります。
4、弁護士、法律事務所選びのポイント
最後に弁護士、法律事務所選びのポイントについて説明します。
①全国展開している法律事務所の利点とは?
刑事弁護では早い段階で弁護人を依頼すれば、それだけ弁護活動を迅速かつ適切に行うことができます。特に逮捕直後は、逮捕された本人も動揺していることが多く、弁護人が法的なアドバイスを行うことはとても重要です。
ここでポイントとなるのは、逮捕される場所は、逮捕される本人の地元とは限らない、ということです。土地勘のない場所でいきなり逮捕されることも十分ありえます。このような場合、逮捕された本人が留置されている警察署とご家族が住んでいる住所地が遠く離れていることもあります。ご家族が地元の弁護士に相談しても、弁護士がすぐに遠方に接見に行くことは難しいのです。このようなとき、全国に支店がある法律事務所であれば、ご家族の相談に応じて、すぐに留置されている警察署の最寄りの支店から弁護士が接見に行くことが可能です。
②費用が明瞭であること
刑事弁護の費用が、一体いくらなのかわからなければ依頼することが難しいと思います。そのため、費用が明瞭な法律事務所を選ぶことも大切です。
ベリーベスト法律事務所は、全国に支店をもつので、遠方で逮捕された場合にも可能な限り迅速に対応できます。また、費用も当事務所のホームページに掲載されているとおりです。そのため安心してご依頼いただけると思います。
5、まとめ
いかがでしたか。刑事事件ではなるべく早い段階で適切な弁護活動を行うことがとても大切です。ご家族だけで悩まず、まずはベリーベスト法律事務所 松山オフィスまでご相談にいらしてください。当事務所では、逮捕された方やご家族からの話をしっかりとお伺いし、最善の弁護活動を行います。
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