大麻で逮捕されたら釈放されることはあるのか。 家族ができることとは。
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薬物犯罪の中でも、大麻に関する犯罪は、若年層が検挙されるケースが多くなっています。
その理由としては、若年層は、大麻に関して、映画や本などで間違ったイメージを持ちやすいことや、インターネットの普及により大麻を入手しやすい環境になったことなどが挙げられるでしょう。
本コラムでは、大麻取締法に違反した場合の刑罰や、もし家族が大麻所持の容疑で逮捕されてしまったときに何をすべきかを、ベリーベスト法律事務所 松山オフィスの弁護士がお伝えします。
1、大麻取締法違反の刑罰とは?
大麻取締法という法律に違反する、以下のような行為をした場合、逮捕される可能性があります。
- 大麻の所持、譲受、譲渡
- 大麻の栽培、輸出入
そして、これらの行為には予備罪や未遂罪もあるので、たとえば、大麻を輸入する契約をした、大麻を栽培しようと準備したという場合でも、大麻取締法違反になります。
では、大麻に関する犯罪をした場合、どのような刑に処されるのでしょうか。
●大麻の所持、譲受、譲渡の刑罰
大麻の所持、譲受、譲渡をした場合、5年以下の懲役に処せられる可能性があります。
また、営利目的がある場合には、罪はより重くなり、7年以下の懲役、または情状によっては7年以下の懲役と200万円以下の罰金になります。(大麻取締法24条の2 第1項、大麻取締法24条の2 第2項)
●大麻の栽培、輸出入の刑罰
大麻を栽培したとき、輸出や輸入したときには、7年以下の懲役です。
営利目的がある場合には、こちらも罪が重くなり、10年以下の懲役、または情状によっては10年以下の懲役と300万円以下の罰金になります。(大麻取締法24条第1項、第2項)
●大麻を栽培しようとした、譲ろうとした(予備罪・未遂罪)の刑罰
大麻を栽培しようとしたり、譲ろうとしたりして、未遂に終わった場合(未遂罪)、その準備をした(予備罪)だけでも、大麻取締法違反として処罰される可能性があります。(大麻取締法24条 第3項、24条の2 第3項、24条の4)
2、大麻で逮捕された後の流れを解説。釈放されることはあるのか。
それでは、実際、大麻取締法違反で逮捕された場合、その後どうなるのでしょうか。
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(1)一般的な逮捕後の流れ
●逮捕直後は警察で身柄拘束され取り調べを受ける
逮捕後は、取り調べなどの警察の捜査を受けます。
取り調べをした警察は、逮捕時から48時間以内に、検察へ送致するか、釈放するかを決定します。逮捕したものの、その逮捕事実に誤りがあった場合や逃亡の恐れがない場合など釈放されますが、そうではない場合には、検察へ身柄が送致されます。
逮捕事実に誤りがあり釈放された場合には起訴されることはありませんが、逃亡の恐れなどがないという理由で釈放された場合には、身柄拘束を受けないまま捜査が進む場合もあります。
●検察へ送致
検察に送致された場合には、検察による捜査を受けることになります。
検察は、逃亡の恐れがある場合などには送致から24時間以内に、引き続き身柄を拘束するために裁判所に勾留請求するか、それとも釈放するかを決定します。
勾留は、国が国民の身体の自由を長期間奪う行為であるため、行える条件が刑事訴訟法で決まっています。
その条件とは、上記で述べた通り逃げる可能性があることや、住所不定であること、証拠隠滅を図る恐れがあること、この3つの内のいずれかに該当することです。
また、勾留されず釈放された場合でも、起訴されないと決まったわけではありません。身柄は解放されたまま、捜査が続き起訴されることもあります。 -
(2)大麻取締法で逮捕された場合、釈放されるのは難しい
大麻取締法で逮捕された場合の多くは、釈放されることはなく勾留されます。
これは、大麻の場合、入手先や関係先が必ずあるため、入手先や関係者と連絡をとり、証拠隠滅がなされることを防ぐためです。
勾留が決定した場合、原則として10日間勾留されることになりますが、さらに10日間延長され、逮捕から最大23日間、勾留されることもあります。 -
(3)大麻事件で保釈をされることはある?
釈放と似て非なるものとして、「保釈」があります。保釈とは、捜査を受け裁判にかけられることが決まった被告人の身柄拘束を、裁判が終わるまで解くことです。保釈を申請した被告人は、裁判所に保釈が認められ、定められた保釈金を裁判所に担保として預ければ、外に出ることができます。もしも逃亡すれば、保釈金は没収です。保釈金の金額は、罪の重さや被告人の資力によって個別に決定されます。
大麻事件でも保釈は認められます(個別事情を勘案して認められない場合もあります)ので、もし家族が逮捕された場合には、保釈の件も含めて弁護士に相談をされることをおすすめします。 -
(4)大麻で逮捕された場合には、執行猶予となることはある?
営利目的がなく、大麻を持っていた、譲り渡した場合で有罪判決を受けた場合、悪質ではなく初犯であれば執行猶予となり、社会の中で更生をしながら罪を償う可能性が高くなります。しかし、営利目的があった場合には、より罪が重くなるため、執行猶予となる可能性は低くなるでしょう。
なお、営利目的なく大麻を持っていた、譲り渡した場合でも、再び罪を犯した場合には、執行猶予がつく可能性は低くなり、懲役刑を科せられます。
3、逮捕されたときに家族がとるべき行動
家族が逮捕されたとき、まずやるべきなのが、できるだけ早く弁護士に相談する、ということです。
実は、警察に逮捕されてから72時間は、家族であったとしても面会することができません。しかし弁護士であれば、逮捕直後からに接見できるので、本人から事情を聞き、取り調べに対するアドバイスや差し入れをすることができます。
早期に弁護士に相談すれば、それだけ弁護活動に十分時間をかけることができ、捜査機関への働きかけもできるので、勾留や不当に重い処分を防ぐことができる可能性も高まります。
家族が逮捕されたことを知った場合には、できるだけ早く弁護士に相談することが大切といえるのです。
4、家族が薬物の問題にたいして、対処できること
大麻所持を認めている場合に、家族が薬物問題に対してできることには、次のようなものがあります。
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(1)薬物につながる人間関係を断ち切らせる
薬物犯罪は、入手ルートにつながる人間関係が続いてしまえば、再犯の可能性が高くなります。ですから、家族は、これまでの人間関係を本人と共に見直し、薬物につながる人間と連絡をとれなくするなどの方法で、関係を断ち切らせる必要があります。
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(2)専門機関を利用して薬物依存を治療する
大麻などの薬物は依存性があり、薬物依存症になってしまうと、本人や家族だけの力でそこから抜け出すことが非常に困難になります。
そのため、薬物依存者の自助グループを探して入所を検討したり、精神保健福祉センターなどの行政機関に相談するなどして、専門機関を利用して薬物依存を治療する方法を検討して、再犯を防ぐ必要があります。 -
(3)薬物犯罪に対する正しい知識や対処法を身に付ける
本人だけでなく、家族も薬物犯罪に対する正しい知識や対処法を勉強しておくことも大切です。そして、家族が大麻に手を出してしまった要因や、その背景にある問題を探っていくことが更生につながります。
こういった家族の再犯防止の取り組みは、更生につながるだけでなく、裁判所でも評価され、今回の処分を軽くすることにもつながります。
5、まとめ
ここでは、大麻に関する犯罪の概要や、もし家族が大麻所持で逮捕されてしまったときには、どのようなことができるかをベリーベスト法律事務所 松山オフィスの弁護士が解説していきました。
大麻の所持で家族が逮捕されたときには、できるだけ早く弁護士に相談し、早期釈放を目指し、社会的影響を最小限に抑える必要があります。
そして、もし罪を認めている場合には、薬物依存の治療を行い、薬物の入手ルートを断ち切るなど、家族ができることはたくさんあります。
ベリーベスト法律事務所 松山オフィスの弁護士は、本人やご家族とともに、早期釈放や不当に重い罪とならないよう弁護活動を行います。
大麻などの薬物犯罪で逮捕されてしまったときには、ご家族だけで悩まず、ぜひご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています