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改正独禁法の概要や企業が知るべきポイントを弁護士が解説!

2020年11月25日
  • 独占禁止法・競争法
  • 改正独禁法
  • 弁護士
  • 松山
改正独禁法の概要や企業が知るべきポイントを弁護士が解説!

令和2年1月1日から、独占禁止法(通称「独禁法」)が改正されました。課徴金減免制度や課徴金算定の計算方法など、さまざまな点が変更されています。

この記事では、具体的な変更点を見ていくとともに、企業が気をつけるべき点についてベリーベスト弁護士事務所 松山オフィスの弁護士が解説しています。改正独禁法に抵触しないようにするために今後どのように向き合っていけばいいのか、一緒に確認していきましょう。

1、独占禁止法(通称「独禁法」)とは

まずは、あらためて独占禁止法(以下、独禁法)について確認しましょう。この法律は、正式には「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」といいます。企業が公正で自由な競争ができるように制定された法律です。

  1. (1)独禁法によって規制されている行為

    独禁法では、各事業者の活動や創意工夫、労働者の所得向上、ひいては一般消費者の利益確保や国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的として、さまざまな規制が盛り込まれています。

    たとえば、独禁法では、私的独占の禁止が定められています。これは、異常に低価格な商品を販売して競争相手の参入を妨げ、市場を独占してはならないとするものです。また、株式取得などを行って競争相手の事業活動に制約を与え、市場を我が物にしようとする行為も禁止の対象となっています。

    カルテルや入札談合といった、いわゆる不当な取引を制限しているのも独禁法です。カルテルは、本来なら各事業者が単体で決めるべき商品の価格や数量を共同で取り決める行為のことで、消費者の利益を損なうとして制限されています。入札談合は、公共工事や公共調達に関する入札を事業者同士が相談して決める行為がその一例です。国や地方公共団体の支出を必要以上に増やすことから禁じられています。

    独禁法では、これ以外にも、不公平な取引方法に関する規制や独占的状態の規制などが決められています。事業者は、これらのルールに抵触していないか常に確認しながら、事業活動を行うことが大切です。

  2. (2)独禁法を違反した場合の措置

    独禁法に違反した場合、当該事業者には規制を実現する組織である公正取引委員会から、排除措置命令が下されます。排除措置命令とは、簡単にいえば、その違反行為をやめさせるための指摘です。

    また、このとき事業者には、課徴金を国庫に納付することが命じられることも少なくありません。課徴金は、基本的に、算定基礎(算定期間内の対象商品・役務の売上額)に算定率をかけ、そこから課徴金減免制度(詳細後述)を引いた額で計算されます。

    また、違反の内容によっては、刑事罰(個人には5年以下の懲役または500万円以下の罰金、法人には5億円以下の罰金)が科されたり、民事上の損害賠償責任が問われたりする可能性もあります。

2、改正独禁法の施行で何が変わったか

冒頭でも述べたように、令和2年1月1日に、改正独禁法が施行されました。具体的に何が変わったのでしょうか。主な変更点をご紹介しましょう。

  1. (1)課徴金減免制度の変更

    独禁法には、違反行為をした企業が、実態解明のために公正取引委員会に協力した場合、課徴金が免除されたり減算されたりする制度が設けられています。これを課徴金減免制度と言います。

    これまでの独禁法では、協力の申請をした順番に応じて減免率が決まっていて、かつ申請者数が5社まで(公正取引委員会の調査が入ったあとは3社)と制限がありました。

    しかし、それでは事業者から積極的な協力が得られないことから、改正後の独禁法では、申請した順番に加えて協力度合いによっても減算されるようになっています。また、申請者の数も撤廃され、すべての調査対象事業者に減算される機会が与えられるようになりました。

  2. (2)弁護士・依頼者間秘匿特権への対応

    課徴金減免制度の変更に伴い、それをより機能させるための取り組みとして、弁護士・依頼者間秘匿特権が導入されています。

    概要としては、今まで、外部弁護士への相談内容は、公正取引委員会に証拠品として押収され、違反行為の判断材料にされてしまう可能性がありました。今回の法改正によって、外部弁護士とやり取りした文書や通信記録を適切に保管するなど一定の要件を満たせば、その秘密が守られることになりました。

  3. (3)課徴金の算定期間の延長

    課徴金の算定方法が変更となったのも、今回の新たな独禁法の特徴です。改正によって、算定基礎となる算定期間が最長3年から10年まで延長されました。また、除斥期間(違反行為が問える期間)が5年から7年に延長されました。なお、これに伴い、資料の散逸等による一部の売上額が不明な場合は推計する規定も設けられています。

  4. (4)課徴金の算定基礎・算定率の改定

    課徴金の計算に用いられる算定基礎や算定率の改定も行われました。改正独禁法では、談合金や一定のグループ企業の売上額なども算定基礎に含まれます。また、軽減算定率が廃止され、割増算定率の適用対象が整理されるなど、これまでの課徴金の算定方法とは大きく変わっています。

3、独禁法違反にあたるケースと科される罰則

独禁法を違反した場合、当該の企業には、公正取引委員会から排除措置命令や課徴金納付命令が下されます。どのような場合に違反とみなされるのか、ここで実際にあった事例をご紹介します。

  1. (1)愛媛県のコンクリート会社を含む16社による入札談合

    平成13年に、愛媛県のコンクリート会社を含む16社が入札談合を行ったとされる事例です。この16社は、愛媛県が指名競争入札の方法でのり面保護工事を発注した際に、受注価格が下がることを避けるために、どの会社が受注するのかを決めていました。

    公正取引委員会はこれを受け、16社のうちの5社に対し、自主的な受注活動を行うことや独禁法違反とならないように従業員に研修を行うことなどの排除措置命令を下しました。

  2. (2)縫製会社7社とレンタル会社7社が同時に不正取引

    平成30年にNTTドコモがドコモショップのユニフォームを発注した際に、ユニフォームを販売する縫製会社の7社が、どの会社が受注するのか事前に決めていたとされた事例です。公正取引委員会は、7社のうち6社に対して排除措置命令、また3社に対して合計1025万円の課徴金納付命令を下しています。

    また、この事例では、ユニフォームをNTTドコモにレンタルするレンタル運用会社の7社も、同様に不正な取引を行っていました。こちらに対しては、7社のうち6社に排除措置命令が下されています。

  3. (3)14億円の課徴金納付と刑事告訴にまで発展した舗装災害復旧工事の入札談合

    平成23年に、東日本高速道路株式会社が発注した東日本大震災に係る舗装災害復旧工事に対して、20社の事業者が入札談合を行ったとされる事例です。事態を重く見た公正取引委員会は、全社に対して排除措置命令、うち11社に対して計14億円あまりの課徴金納付命令を下しています。

4、企業が受ける影響と行うべき対応

上記で見てきたように、独禁法では課徴金減免制度をはじめ、さまざまな内容が変更されています。最後に、それによって企業が受ける影響を見ながら、施行日を迎えた今行うべき対応について解説します。

●改正独禁法の把握
まずは、改正独禁法の内容を把握することが大切です。日頃から役員や従業員の研修・教育を実施し、思わぬ形で抵触しないように体制を整えておきましょう。

●公正取引委員会への積極的な調査協力
改正独禁法によって課徴金減免制度の変更が行われ、協力的な企業は課徴金が大きく減算されることになりました。

ただし、申請順位に応じた減免率のみを見た場合、以前の法律よりもパーセンテージが低くなっています(たとえば調査開始前の申請順位2位の減免率が、以前は50%だったのに対して現在は20%など)。また、どの程度協力的だったかは、事業者が提出した証拠の価値によって判断されます。

つまり、課徴金を大きく減算してもらうためには、手早く申請を行うのに加えて、証拠の内容にも気を配る必要があります。そのため、日頃から違反行為がないかどうかチェックするだけでなく、もし違反行為が発覚したら公正取引委員会に有効な証拠が提出できるようにしておくのが重要です。

●過去の資料の徹底管理
改正独禁法では、算定期間が大幅に延長されていて、より過去の調査が行われます。実態がわかる資料がないと、課徴金が本来よりも高くなるなど不利な調査結果になる可能性があるため、文書や電子記録媒体の保管方法を徹底するのが望ましいでしょう。

●困ったら弁護士に相談を
独禁法の正しい理解や違反行為のチェックなど、事業者として行っておきたいこれらの対応には一定以上の法律知識が求められます。会社に余裕がない、もしくは不安がある場合には弁護士を頼るのが得策です。

特におすすめなのが、顧問弁護士と契約を結ぶこと。顧問弁護士だとほかの依頼者よりも優先的に対応してくれることが多いので、日頃から法的なアドバイスをもらったり、すぐに事業活動のリーガルチェックを依頼したりできます。また、弁護士・依頼者間の秘匿特権に必要な対応も把握しているので、思わぬ形で法律違反に問われる可能性も避けやすくなります。

5、まとめ

改正独禁法は、協力的な事業者に対して有利な内容に変更された一方、そうではない事業者に対してはより厳しい対応がなされるものと言えるでしょう。そのため事業者には、より一層法律に対する理解、遵守が求められます。

もし企業法務に関してお困りなら、ベリーベスト法律事務所 松山オフィスにお気軽にご相談ください。顧問弁護士契約を結ぶことも可能ですので、ご検討いただければ幸いです。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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