離婚に必要なお金はどのくらい? 相手に請求できるお金も併せて解説
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愛媛県松山市のデータによると、令和3年中の同市における離婚件数は757組で、前年比91組の減少となりました。婚姻件数は2038件で、離婚件数の約2.6倍となっています。
配偶者と離婚をする際には、どうしてもある程度のお金が必要となります。その反面、事情によっては配偶者に金銭の支払いを請求できる場合がありますので、事前に弁護士へご相談いただくのがおすすめです。
今回は、配偶者と離婚する際に必要となるお金や、配偶者に対して支払いを請求できるお金について、ベリーベスト法律事務所 松山オフィスの弁護士が解説します。
(出典:「松山市統計書(令和3年度版)第2章 人口動態」(松山市))
1、離婚手続きの大まかな流れ
離婚手続きは、協議・調停・訴訟の順に進行します。
段階が進むに連れて、かかる時間や必要な費用が増える点に注意が必要です。
- ① 離婚協議
夫婦間の話し合いにより、条件を取り決めたうえで離婚します。 - ② 離婚調停
家庭裁判所にて、調停委員の仲介により条件を調整したうえで、合意が整えば調停上で離婚が成立します。 - ③ 離婚訴訟
夫婦のいずれかが離婚を拒否している場合に、裁判所の判決によって離婚に関する判断がなされます。
離婚を認める判決を得るには、法定離婚事由(民法第770条第1項)の存在が必要です。
2、離婚に必要なお金の種類・金額目安
配偶者と離婚する際には、主に調停申立てや訴訟提起の費用と、弁護士費用が必要になります。
各費用の金額目安は、以下のとおりです。
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(1)調停申立て・訴訟提起の費用
離婚調停を申し立てる際には、家庭裁判所に手数料と郵便切手を納める必要があります。
離婚調停の手数料は一律1200円、郵便切手は数千円程度です。
離婚訴訟を提起する際にも、離婚調停と同じく、家庭裁判所に手数料と郵便切手を納めなければなりません。
離婚訴訟の手数料は、以下のとおりです。基本 1万3000円 養育費を請求する場合 子ども1人当たり+1200円 財産分与を請求する場合 +1200円 面会交流を請求する場合 +1200円 慰謝料を請求する場合 請求額に応じて加算
(例)200万円の慰謝料を請求する場合、+1万5000円
郵便切手は離婚調停と同じく、数千円程度が必要となります。
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(2)弁護士費用
離婚に関する協議・調停・訴訟の対応を弁護士に依頼した場合、弁護士費用がかかります。
具体的な弁護士費用の金額は、依頼先の弁護士や事案の内容によって異なります。
ベリーベスト法律事務所にご依頼いただいた場合の費用は、以下のページに詳しく掲載していますので、ご参考にしてください。
(参考:「弁護士費用」(ベリーベスト法律事務所) )
3、離婚時に相手に請求できるお金
離婚を成立させるまでにはある程度費用がかかる一方で、離婚が成立すれば、相手から金銭の支払いを受けられる可能性があります。
離婚の際に請求できる金銭の種類は、以下のとおりです。
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(1)財産分与・年金分割
夫婦のいずれかが婚姻中に取得した財産は、財産分与の対象となります(民法第768条、第771条)。
いずれか一方の単独名義で取得した財産も、婚姻中に共同で取得したものであれば、相続や贈与などによって得たものを除いて財産分与の対象となり得ます(民法第762条)。
婚姻中に取得した共有財産を2分の1ずつに分けるのが基本的な考え方ですが、具体的な財産分与の方法は、協議・調停・訴訟などを通じてケース・バイ・ケースで決定されます。
なお、財産分与の一環として「年金分割」を請求できる場合があります。
年金分割とは、厚生年金保険の加入記録を夫婦間で分割する手続きで、財産分与の一種です。
夫婦間の合意により行う「合意分割」と、国民年金の第3号被保険者の単独請求により行う「3号分割」の2種類があります。
配偶者だけが厚生年金保険に加入している場合や、配偶者の方がご自身より収入が多い場合などには、年金分割の請求をご検討ください。 -
(2)婚姻費用
離婚成立前に別居する場合、別居期間中の生活費など(=婚姻費用)の精算を請求できます(民法第760条)。
精算すべき婚姻費用の金額は、裁判所が公表している婚姻費用算定表を基準に決めるのが一般的です。
婚姻費用算定表では、夫婦の収入バランスや子どもの人数・年齢によって金額を変更しています。
離婚前に別居するケースで、配偶者の方がご自身より収入が多い場合は、婚姻費用の精算を請求しましょう。 -
(3)慰謝料
離婚に至る原因につき、相手に側に責任がある場合は、慰謝料を請求できるかもしれません。
離婚慰謝料を請求できる主な場合は、以下のとおりです。- 配偶者が不貞行為をした場合
- 配偶者がDVやモラハラに当たる行為をした場合
- 配偶者が一方的に別居した場合
- 配偶者が生活費を全く支払わなかった場合
- 配偶者が合理的な理由なく性交渉を拒否した場合
離婚慰謝料の金額はケース・バイ・ケースです。弁護士であれば、お客様のご状況を確認し、請求できる慰謝料の相場をお伝えできますので、まずは弁護士に相談してみましょう。
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(4)養育費
ご自身が親権者として子どもを育てていく場合、離婚した元配偶者から養育費の支払いを受ける権利があります。
養育費については、次の項目で詳しく解説します。
4、子どもがいる場合における、離婚後の支出と収入
子どもを親権者として育てる場合には、住居費・生活費・学費などが必要となるため、元配偶者へ養育費の支払いを請求できます。
ご自身の仕事から得られる収入と合わせた収支を計算して、できる限り離婚前の段階で、離婚後の支出と収入について、めどを付けておくことをおすすめいたします。
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(1)離婚後の支出|住居費・生活費・学費など
子どもをひとりで育てる場合、子どもの分も合わせた住居費・生活費・学費などを賄わなければなりません。
また、事故や病気による医療費や、高校・大学の入学金など、突発的な出費が発生することも予想されます。
ご自身の収入だけでは厳しくなる可能性が高いので、元配偶者から十分な養育費の支払いを受けることが非常に重要です。 -
(2)離婚後の収入|養育費
元配偶者から支払いを受ける養育費の金額は、裁判所が公表している養育費算定表を基準に定めるのが一般的です。
婚姻費用と同じく、夫婦の収入バランスや子どもの人数・年齢によって金額が変わります。
たとえば10歳と8歳のふたりの子どもがいて、元配偶者の年収が500万円(給与)、ご自身の年収が300万円(給与)の場合、毎月の養育費は「6~8万円」が目安となります。
また、医療費や、高校・大学の入学金など、突発的な出費については特別費用として、毎月の養育費とは別途協議をすることもあります。
養育費の請求は、離婚に関する協議・調停・訴訟の際に併せて行います。
また、養育費を確定させずに離婚をした場合には、後から養育費を請求することも可能です。
その場合、協議または養育費請求調停・審判の申し立てを行います。
5、離婚時に決めた慰謝料や養育費が支払われない場合の対処法
離婚時の取り決めに違反して、元配偶者が慰謝料や養育費などの金銭を支払わない場合は、以下の方法によって対処することが考えられます。
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(1)速やかに支払うよう請求する
まずは元配偶者に対して、決められた金銭を速やかに支払うよう請求しましょう。
口頭・電話・メールなどでの請求に応じなければ、内容証明郵便を送付して請求することが考えられます。 -
(2)改めて支払い方法を取り決める
元配偶者に資力がないことが不払いの原因となっている場合は、改めて支払い方法を取り決めることも考えられます。
たとえば、慰謝料などを一括払いとしていた場合、分割払いを認めれば、少しずつ支払いが行われるかもしれません。 -
(3)支払督促の申し立て・訴訟提起を行う
協議によって慰謝料や養育費などを取り決めたケースで、公正証書を作成していない場合には、直ちに強制執行を申し立てることができません。
この場合には、裁判所に対して支払い督促の申し立てや訴訟の提起を行いましょう。
仮執行宣言付支払督促・仮執行宣言付判決・確定判決などが得られれば、それを用いて強制執行を申し立てることが可能となります。 -
(4)強制執行を申し立てる
慰謝料・養育費などを公正証書によって合意した場合や、調停・審判・訴訟によって取り決めたケースでは、不払いが起こった場合には直ちに強制執行を申し立てることができます。
強制執行手続きでは、元配偶者の預金・給与債権(退職金請求権を含む)・不動産などの財産を差し押さえたうえで、強制的に慰謝料・養育費などの支払いに充当します。
特に養育費については、将来分の給与債権に対する強制執行も認められており、未払い金が回収しやすくなっています(民事執行法第151条の2)。
慰謝料・養育費等の不払いにお悩みの方は、お早めに弁護士までご相談ください。
6、まとめ
配偶者と離婚する際には、調停申立てや訴訟提起の費用や、弁護士費用が必要となる場合があります。
また、特に親権者として子どもを育てていく場合には、離婚後に多くのお金が必要となるので、配偶者から十分な金銭の支払いを受けることが重要です。
ベリーベスト法律事務所にご依頼いただければ、お客さまにとってよい条件で離婚を成立させられるように、弁護士が誠心誠意サポートいたします。
配偶者との離婚をご希望の方は、ベリーベスト法律事務所 松山オフィスにご相談ください。
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