離婚の財産分与も課税される!? 松山市の弁護士が解説する財産分与における税金の考え方
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離婚の際は、財産分与でお金や資産のやり取りがありますが、その際に税金が発生するケースもあります。財産を譲渡する側、譲渡される側に、それぞれどのような税金が発生するのでしょうか。
今回はベリーベスト法律事務所 松山オフィスの弁護士が、財産分与の際の税金の計算方法や課税されるケースなどについて解説いたします。
1、離婚で財産をもらい受けるのに税金はかからない
原則として、離婚によって財産をもらう側に税金はかかりません。夫婦の共有財産を分けただけなので、財産分与によって資産が増えるわけではないからです。 ただし、場合によっては贈与税や不動産取得税がかかりますので、注意が必要です。
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(1)贈与税
贈与税とは、個人から財産をもらったときにかかる国税で、受け取った側が支払う義務があります。
土地やお金などを贈与された場合に、課税されるものですが、離婚の財産分与では原則として贈与税はかかりません。
ただし、財産分与としてもらい受けた財産が相場より多いと判断されると課税されるケースがあります。
また、贈与税や相続税を免れるための不正な離婚であったと判断される場合も、贈与税が発生する可能性があります。
贈与税が発生した場合、年間110万円までの基礎控除額が設定されているので、110万円以下は非課税、超えた分に税金がかかります。贈与額が300万円の場合は、10万円の控除、1000万円の場合は125万円の控除がプラスされます。
計算方法は「(贈与額-110万円)×税率-控除額=贈与税額」となります。
贈与税の税率は、受け取る金額に応じて段階的に高くなり、最大で55%です。 -
(2)不動産取得税
基本的には贈与税と同じく、不動産取得税はかかりません。
しかし、財産分与としてもらい受ける不動産を含む財産が多すぎると判断された場合には、不動産取得税がかかってしまうケースがあるのです。
不動産取得税の金額の計算方法は、固定資産税台帳に登録されている不動産価格の3%となります。
ただし、住宅以外の建物の場合には4%の税金がかかります。
2、財産を譲渡する側が払う税
財産分与で財産を譲渡する側にも譲渡所得税が課税される可能性があります。
どんなものに税金が発生し、その税金額はどのように計算するのか見ていきましょう。
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(1)譲渡所得税
譲渡取得税は、不動産などの資産を売却したことによって利益が出た場合に納付する税金です。
つまり、購入時よりも不動産などの資産の価格が上昇している場合のみ譲渡所得税を支払う必要があるということです。
購入時よりも価格が下落している場合、価値が変わらない場合には譲渡所得は発生していないとみなされるので、非課税になります。 -
(2)譲渡所得税の対象となる財産
譲渡所得税の対象となる財産は、土地や建物などの不動産や、株式などの有価証券だけではありません。
ゴルフやリゾートの会員権、高価な美術品なども譲渡所得税の対象になる可能性があります。
3、節税の方法
税金の支払いは逃れられることができませんが、適用される制度を知っておくことで節税可能なので、財産分与の際の税金を抑える方法を解説します。
●特別控除を利用する
住んでいた家を売却する場合は、3000万円までは税金がかからないという「特別控除制度」があります。
夫婦や親子ではない第三者に不動産を売却した場合は、3000万円以内であれば、購入金額より売却金額が高くても課税されません。
特別控除を受ける場合は、確定申告しなければならず、確定申告をしなければそのまま課税されてしまうので忘れずに手続きを行いましょう。
●配偶者控除制度を利用する
婚姻期間が20年間以上の場合には、配偶者控除を受けることができます。
配偶者からの贈与を2000万円、そしてその年の贈与税の基礎控除が110万円となるため、居住用の不動産を対象にして最大2110万円の節税が可能になるのです。この制度を活用する場合は離婚前に譲渡しなければなりません。
●長期譲渡所得税についての軽減税率の特例
所有期間が10年以上の不動産を売却した場合は、税率を軽減させられる特例を受けることができます。
税率が、所得税は15%から10%に、住民税は5%から4%に軽減されます。
4、離婚で財産分与を行ったら書面に残しておく!
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(1)離婚協議書を作成するメリット
財産分割の際にかかる税を計算したら、夫婦で財産をどのように分けるべきか話し合います。合意ができたら、必ず離婚協議書を作成しましょう。
書面に残しておかないと、合意の内容を思い出せなくなり、言った言わないといった水掛け論になることは多々ありますし、相手がわざと約束とは違う内容を主張する可能性もあります。
離婚協議書を作成することで無用な言い争いを防ぐことができます。また、仮に裁判沙汰になってしまった際、離婚協議書は有力な証拠となります。
さらに、税務署から通知や調査が入った場合、離婚協議書があれば説明が容易です。後々のトラブルを回避するため、離婚協議書は必ず作っておきましょう。 -
(2)公正証書ならさらに強い法的効力がある
離婚協議書は公正証書の形式で作成することをおすすめします。
相手がお金に関する約束を守らなかった場合、履行を強制するために財産の差し押さえなどを行うことができますが、通常であれば裁判を起こさして判決を獲得しなければ差し押さえはできません。しかし、公正証書は裁判のステップを省略して強制執行が可能となり、話し合いの内容を実行されなかった際に裁判をせずに差押えをすることができます。
5、離婚の財産分与についてベリーベスト法律事務所に相談するメリット
離婚の財産分与をする際は、単に財産を半分にするだけでは足りず、後々のトラブルを回避する方法や税金などについて考えなければなりません。法的リスクの把握や税金の算出に関しては、弁護士や税理士でなければ難しい場合もございます。
ベリーベスト法律事務所の弁護士は、法的観点から財産分与で不利な条件とならないよう、アドバイスを行います。また、当グループ内には税理士も在籍しておりますので、税金面のご相談も可能です。
また、財産分与面だけでなく離婚にまつわる全ての交渉を引き受けることもできるため、離婚問題に時間と手間をかけることなく、新しい生活の準備を進められるようになります。
6、まとめ
離婚時の財産分与は、税金がかかるケースやかからないケースがあるので判断が難しい場合が多く、専門知識がなければ本来払わなくてもよい税金を支払うことになりかねません。税金面で損をしないためには、税理士はもちろん、弁護士などの専門家に相談する必要があります。
ベリーベスト法律事務所松山オフィスには財産分与に携わった経験が豊富な弁護士が、税金の算出やトラブル回避のお手伝いをいたします。税理士と連携した対応も可能です。まずはお気軽にご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています