婚外子をもうけた松山の女性へ! 養育費を受け取るために知っておくべきこと
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「結婚する予定だった相手との間に子どもをもうけたものの、入籍前に破局を迎えてしまった……」
「どうやって子どもを育てていけばいいのか、不安だ……」
そのようにお悩みの方に向けて、松山市ではひとり親のためのさまざまな支援事業を展開しています。
最近ではシングルマザーとして子どもを育てる女性が増えてきました。しかし、依然として男女間の賃金格差があるといわれている日本において、子どもとともに生きていく以上、子どもの父親から養育費をもらえたら、と考えることは当然のことです。
そこでこの記事では、結婚しないで子どもをもうけた松山の女性向けに、婚外子でも養育費を受け取るために知っておくべきことについて解説します。
1、婚外子と養育費
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(1)婚外子とは
男女が婚姻を結んで子どもをもうけると、その子どもは嫡出子として、当然に父親と親子関係があるものと推測されます。しかし、法律上の結婚をしないで子どもを産んだ場合、その子どもは婚外子と呼ばれ、当然にはその父親の子どもとは推測されなくなるのです。
この結果、父親であれば子どもの面倒を見ることが当然であり、離婚した場合は養育する側に養育費を渡すという、当然の前提が通用しなくなります。
とはいえ、正式な結婚をしていないからといって、子どもが養育費を受け取る権利がまったくないわけではありません。 -
(2)認知されている場合
認知とは、結婚していない男女の間に生まれた子どもを父親が、自分の子どもだと認めることをいいます。
女性は子どもを出産するため、母親であることを証明しやすいのですが、男性の場合はそうはいきません。一般的に認知が問題となるのは、結婚していない男女間で生まれた子どもの父親が誰か、ということがわからないケースがほとんどです。
そんなときに、父親が婚外子を認知すれば、親子関係は成立します。親には自分の子どもを養育する義務があるので、婚外子でも認知さえされれば、養育費を受け取ることは可能になるのです。 -
(3)認知されていない場合
父親が自分の子どもだと認知していない場合、法律上の親子関係はないので、父親は養育費を支払う義務はありません。
しかし、父親にあたる人物との話し合いで養育費を払うという約束をして、払ってもらうことはできます。つまり、法律の強制ではなく、父親の自由な意志により支払うことはできるということです。
ただ、生まれる前は口約束で養育費を払うといっておきながら支払いをしない男性もいますので、必ず支払いの約束を証明する書類を残しておくようにしましょう。
2、認知のその他の効果
認知によって、婚外子であっても父親には養育費を支払う義務が生じることは、先ほど説明しました。ここでは、父親が婚外子を認知した場合のその他の効果について解説します。
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(1)戸籍
婚外子の戸籍は、母親が出生届を出すことによって、母親の戸籍に入ることになります。そして、父親が婚外子を認知すると、父親の戸籍には認知事項、子どもの戸籍には父親の名前が記載され、戸籍上でつながりが確認できるようになるのです。
ただし、認知されたからといって子どもの名字が父親のものに変わったり、父親の戸籍に入るわけではありません。 -
(2)相続
認知をされると、子どもには父の財産を相続する権利が生じます。また、子どもが父親よりも先に死んだ場合には、父親が子どもの財産を相続する権利も発生します。
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(3)その他の法律上の権利
認知の効果は戸籍の記載や相続以外にも、以下のようなことがあります。
●扶養義務
法律上の親子関係が成立すると、親には未成年の子どもを扶養する義務が生じます。また、父親が年をとって自分のことができなくなった場合にも、子どもには親を扶養する義務があります。
●親権
父親は認知することで、親権を持つ権利を主張できます。認知した時点で、親権を母親が持っていた場合、親権者を父親に変更することを要求することが可能です。ただし、父親の要求が必ずしもとおるとは限りません。
●子どもとの面会交流権
父親と子どもが同居していなければ、原則日常的に会うことはありません。認知により法律上の親子関係が成立した場合は、父親は子どもと会える面会交流の権利を主張できます。
3、婚外子を認知する方法
婚外子を認知する方法には、以下の3つがあります。
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(1)任意認知
任意認知とは、父親が自分の意思で婚外子を自分の子どもと認めるケースです。市区町村役場に認知届を提出すれば、認知の効力が発生します。
ただし、子どもが成人している場合は、扶養義務が子どもにだけかかるケースが発生するため、父親が勝手に認知することはできず、子どもの承諾が必要になります。また、死亡した子どもを認知する場合は、その子どもの直系卑属が存在するときに限って可能となります。 -
(2)強制認知
父親が任意で認知をしない場合は、子ども、その直系卑属、またはこれらの者の法定代理人(母親など)が父親に認知をしてくれるように請求をします。家庭裁判所に調停や審判の申し立てをしたり、裁判を起こしたりして、請求が認められれば、認知を受けることが可能です。
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(3)遺言認知
認知は遺言によってもでき、任意認知の一種と考えられます。この場合は遺言者の死亡と同時に認知の効力が生じますが、実際に遺言のとおりに役所へ認知届をしてくれる人物が必要です。
遺言の内容を実現してくれる人物としては、相続に利害関係のない弁護士が適任といえるでしょう。 -
(4)胎児認知
認知は子どもが生まれてからするケースがほとんどですが、子どもが母親のお腹の中にいるときでも認知は可能です。父親が役所へ認知届を提出することで、認知は完了します。
妊娠したことが判明したら、できるだけ早く認知してもらって安心したいと思うのは母親としては当然のことです。父親の男性が認知をする意思があるのなら、妊娠がわかった時点で胎児認知をしてもらいましょう。
なお、胎児認知ができる時期については法律では特に決まっていませんが、一般的には母親が妊娠して母子手帳をもらったときが多いでしょう。
4、養育費の相場や計算方法
子どもが父親から認知を受けると、養育費を受け取ることができます。養育費の相場と計算方法について見ていきましょう。
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(1)養育費の相場
子どもの親権を持つ親は養育費を受け取れますが、養育費にも相場があり、一般的には家庭裁判所の養育費の算定方式により算出されます。
とはいえ、両親の収入が個別のケースごとに異なるため、金額は一定の範囲内で幅を持って決定されるため、養育費の相場はいくらと簡単にはいえません。自分の場合はどのくらい受け取ることができるのか知りたい場合は、弁護士へ相談することをおすすめします。
また、相場などに関係なく、当事者の話し合いで金額や期間を決めることも可能です。 -
(2)養育費の計算方法
養育費は家庭裁判所の算定表を基に計算されます。基本的には、両親の収入と20歳未満の子どもの人数を基準に算定すると覚えておけばよいでしょう。ただし、以下の点には注意してください。
●給与所得者と自営業者の計算方法は異なる
給与所得者は、基本的には、総収入を基準として算定されます。一方、自営業者は、確定申告書記載の「課税される所得金額」に基づきますが、この金額に加え、自営業者は、税金から経費の控除が認められているため、自由になるお金が多いケースがありますので、各種の控除を加算する必要が出てきます。そうすると、算定の基礎となる収入金額が増えますので、それだけ養育費の金額が高くなります。
●子どもの人数が二人以上のケース
子どもの人数が増えると養育費も増えますが、子どもの人数が二人になったら養育費も単純に2倍になるわけではありません。
●子どもが15歳以上になると養育費は上がる
子どもが小さいうちはそれほどお金がかかりませんが、15歳以上になると学費やクラブ活動のお金などがかかってきます。そのことを考慮して、養育費も上がるのが一般的です。
5、まとめ
シングルマザーとして子どもを育てていくことを決めたとしても、子どものことを考えると生活が苦しくなるのは避けたいところです。子どもを育てる義務は、母親だけでなく父親にもあります。まだ父親が認知していないのなら、1日でも早く認知してもらうことをおすすめします。
認知や養育費の算定についてよくわからない、相手が認知に積極的ではないなどのお悩みがある方は、ぜひ一度、弁護士に相談してみてください。ひとりで悩むよりも、よい解決方法がきっと見つかるでしょう。
婚外子の養育費についてお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所松山オフィスまでお気軽にご連絡ください。松山オフィスの弁護士が安心して子育てができるよう、最善のアドバイスをさせていただきます。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています