不倫の慰謝料請求をされた!配偶者に内緒で解決できる?弁護士が解説
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気楽な付き合いと割り切っていたダブル不倫。でも、浮気相手が奥さんにバレて、思わぬ修羅場に!まだ私の旦那は気づいてないから、バレる前に、内緒で慰謝料請求の対処をしたい…。
不倫は、軽い遊びのつもりが大惨事……という事態が起こりやすいもの。実際に、不倫相手の配偶者から慰謝料の請求を受けたとき、どのように対応すればよいのでしょうか?
また、あなたの配偶者には不貞の事実が発覚していなかったとき、内緒で慰謝料請求の対応はできるものなのでしょうか?
今回は、慰謝料を突然請求された場合に確認すべきポイントや対応方法について、松山オフィスの弁護士が詳しく解説していきます。
1、「不倫の慰謝料を請求したい」そんな連絡がある日突然やってきた。
慰謝料を請求された!と、焦る気持ちはあるかもしれませんが、まずは状況をしっかり整理して、落ち着いて対応する必要があります。
不倫(浮気)の慰謝料を請求するために、あなたへ接触してくる方法は、人によって異なります。なによりも、まずは、「誰があなたに連絡を取ってきたのか?」を、しっかり確認してください。それによって、対処法が大きく変わります。
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(1)不倫相手の配偶者本人が慰謝料を請求してきたとき
直接、あなたの家や職場に来訪することや、電話を使って請求する方も少なくありません。ある程度親しい間柄であったならば、メールや、LINEなどのSNSアカウントを介して連絡してくる方もいるでしょう。場合によっては、本人名義の内容証明郵便が届くこともあります。
メールやSNS、内容証明郵便の場合は、慌てて、すぐに返事をしないようにしましょう。
可能な限り返事をする前に、どのような文面が届いたのかを提示し、弁護士など専門家に相談しておくことをおすすめします。
直接、職場などへやって来たときや、電話がかかってくるなど、誰かにアドバイスを求める時間がないことも多いものです。
また、直接話す場合も、電話のときも、可能な限り会話は録音しておくことをおすすめします。スマホに録音機能を付加するアプリもあります。
話の内容に合意しないように気を付けてください。相手は即決を求めるかもしれません。念書や誓約書の署名を求めてくることもあるでしょう。
しかし、その場で結論は出さず、できる限り話を持ち帰って、専門家に相談してください。 -
(2)不倫相手の配偶者本人の友人・親族を名乗る人物が慰謝料を請求してきたとき
あなたの不倫相手の配偶者本人ではなく、友人や親族である場合もあります。
そういった場合は、対応しないほうが良いことも多いです。来訪があったことを弁護士に相談しておくと、今後の対応などのアドバイスをもらえるはずです。 -
(3)弁護士や行政書士が慰謝料を請求してきたとき
弁護士から電話がきたときは、まずは落ち着いて、弁護士の名前と所属事務所名を確認してください。それを明らかにしない人は、弁護士ではない可能性もあります。
多くのケースで、弁護士はまず、内容証明郵便を送ってきます。
弁護士名義で慰謝料の請求を求める書面が届いた場合は、あなたも弁護士に相談する方がよいでしょう。 -
(4)絶対NG! 内緒で慰謝料請求の対応をしたいときの対応法
不倫の慰謝料請求をされたときの対応として、基本的に良くない対応がいくつかあります。それは、例えば、次の3つです。
- ①請求を無視する
- ②相手の言い分に断固として反論する
- ③相手の要求をそのまま呑む
直接受けた請求を無視すれば、相手が裁判に持ち込んだり、周囲の人に相談する可能性が高くなります。ただし、相手の要求が過剰なものである可能性もあるため、そのまま言いなりになるのも避けてください。
2、どんな証拠が法的に有効なの? 慰謝料請求された場合に相手に確認すべきポイント
慰謝料を請求されたら、なにがなんでも慰謝料を払わなければならない、というわけではありません。状況によっては、慰謝料の請求自体が相手の過ちであることもありえます。
本稿では、慰謝料請求された際、あなたの状況に応じてどのような対応をすべきかを解説します。
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(1)あなたに身に覚えがない場合、相手に確認すべきポイント
あなた自身が、不倫をしていた自覚がない場合、慰謝料請求は寝耳に水だったのではないでしょうか。謝罪を求められても、身に覚えがないのであれば、謝りようがありません。
その場合、不倫していた事実がないことを主張し、慰謝料請求を拒否してください。
ただし、相手が弁護士を立てているときや、会話が成り立たないようなとき、あなた自身が多忙で対応が難しいときは、弁護士を代理人とすることをご一考ください。 -
(2)心当たりがあっても請求を拒否できるかも? 慰謝料を支払う義務の有無
そもそも不倫の慰謝料請求には、ポイントがあります。
①既婚者と肉体関係があったか(不貞行為の有無)
まずは大前提として、あなたと慰謝料請求者の配偶者の間に肉体関係があったことを証拠として示せなければ、慰謝料の請求が認められないことが多いです。
よって、相手と手をつないだだけ、食事をしただけ…などの場合は、慰謝料の請求は難しいです。
②不貞行為によって、該当者の家庭の平穏を壊した(婚姻の権利損害)
もともとあなたの不倫相手だった夫妻が、すでに離婚を前提とした別居をしていた、離婚話を進めている最中だった…などの「夫婦関係が破たんしていた場合」、慰謝料が生じないと考えられることがあります。
ただし、裁判などで争うことになれば、「相手の家庭は、結婚生活がすでに破たんしていた」という証拠をあなたが提示する必要があります。
しかし、過去の判例をみても実際に「不倫相手の家庭は夫婦関係が破たんしていた」という証拠と主張が認められ、慰謝料の請求を退けることができるケースは、そう多くはありません。
③相手が既婚者と知っていた
不倫相手が「既婚者だと知っていた」「既婚者と推察できる機会があった(環境下にいた)」などといった
場合には、慰謝料の支払いを拒否することが難しくなりえます。
逆に言うと、妻子がいることを徹底して隠され独身者だと偽られていたり、知り得る機会が一切なく、調べる手段も一切なかったような場合は、慰謝料の請求を拒否できることがあります。
ただし、「既婚者だと知り得なかった証拠」をあなた自身が説明する必要があります。
「既婚者とは知らなかった」と主張しても、証拠がなければその言い分が認められない可能性が高く、証拠を用意できなければ支払の拒否は難しくなるでしょう。
実際に不倫・不貞行為に至るほどの親密な関係になるまでの間に、不倫相手との会話や状況から、相手が既婚者であると判明したり、既婚者である可能性を推察できる機会があることが多いため、「既婚者とは知らなかった」という言い分で慰謝料の支払いを拒否するのは、難しいです。
④不倫に関する慰謝料請求の時効が成立していない
不倫の慰謝料請求にも時効があり、時効が成立すると支払う義務がなくなるということになります。
時効は、不倫相手の配偶者が不貞などの事実を知ってから、3年経過したとき、成立します。あなたと不倫相手が別れてから3年、というわけではありません。 -
(3)相手が持つ証拠によって拒否できる可能性も……
慰謝料の請求において、法的に争うことになったとき、請求した側が証拠を提示できなければ、慰謝料請求は最終的に認められません。
不倫の事実を裁判所などに認めてもらうためには、相応の証拠が必要です。請求してきた相手が証拠を持っているようでしたら、相手が持つ証拠がどのようなものなのかをあらかじめ確認するため、証拠の提示を求めることをおすすめします。
法的に証拠として認められやすいのは、以下のようなものです。
証拠として認められやすいもの- あなたと交際相手がラブホテルに入る、出るタイミングの写真や動画
- 不倫相手と同室で宿泊したことがわかる写真や領収書
- 明らかに肉体関係があったと推測できるSNSへの書き込みやメール
- あなたが請求相手の配偶者との不倫を認めた発言の録音や書面
慰謝料請求をしてきた相手が、これらの証拠を持っていない場合は、請求されたとしても支払を拒否できる可能性があります。
また、持っていたとしても有力な証拠とするには弱い場合には、慰謝料を支払うことになったとしても低額となることもあるでしょう。
3、配偶者に内緒で慰謝料請求問題を解決することはできるの?
配偶者や家族、勤務先や周囲の人などには、内緒で慰謝料請求の対応をしたい…と考える方も多いのではないでしょうか。あなた自身が不倫していた事実を認めて、ある程度の慰謝料を支払う覚悟はできたとしても、不倫した事実を、自らの周囲には知られたくないと思うことは、よくあるケースです。
ここでは、配偶者に内緒で慰謝料請求問題を解決するためには、どのようにしたらよいのかを詳しく解説します。
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(1)配偶者に内緒で慰謝料請求に対応することは難しい
一般的に、不倫に限らず慰謝料請求などを個人で対応する場合は、郵送物や電話などの窓口が自宅になります。配偶者に内緒で慰謝料請求の対応をしたくても、相手から連絡を受ける場所が自宅であれば、配偶者が気づいてしまう可能性はあるでしょう。
また、あなたと請求者は加害者と被害者の関係です。
あなたの対応に納得いかなければ、あなたの家族や会社の人などに、あなたが不倫していたことを暴露してしまうことも少なくありません。
あなた自身にも仕事や家庭などがあるため、常に相手の都合だけに合わせて対応していくことは、現実問題として難しいでしょう。
つまり、あなたひとりで「周囲に内緒で慰謝料請求の対応をすることは非常に難しい」と言わざるを得ません。 -
(2)弁護士に依頼するメリット・デメリット
最悪の事態を避けるためには、法律や不倫・慰謝料問題の専門家である弁護士に相談し、可能な限り対応を依頼することをおすすめします。
弁護士に依頼するメリットは、以下の通りです。
- 法律や過去の経験に基づいたアドバイスをもらえる
- 対応窓口をあなたではなく弁護士にすることができる
- 場合によっては、慰謝料を支払わずに済む
- たとえ慰謝料を払うことになっても、常識的な範囲に抑えることができる
- あなたの家族や周囲に言いふらさないよう、示談書を作ることができる
- 万が一、相手が周囲に言いふらしたときも法律に基づいた対応が可能
逆に弁護士に依頼するデメリットは、お金がかかることが挙げられます。
また、依頼する弁護士には、状況を正直に伝えておく必要があります。弁護士が知らない事実が発覚すれば、対応が難しくなることが多々あるためです。これをデメリットと考える方もいるかもしれません。
弁護士に依頼することは、あなたの名誉や平穏な日常を壊さないための、いわば強力な盾となります。場合によって、武器ともなるでしょう。
無料相談を行っている弁護士事務所も多いです。相手側が弁護士を代理人としている場合は、なおさらあなたひとりで対応することは難しくなるでしょう。
取り返しのつかない状態になる前に、まずは相談してみてください。
4、不倫の慰謝料請求の相場とは?
実際のところ、慰謝料は互いが合意さえしていれば、金額に規定はありません。
つまり、あなたが「支払います」と了承してしまえば、数百万でも支払わなければならなくなります。また逆に、相手が「謝罪だけもらえればいいです」といってくれれば、慰謝料を支払う必要はなくなります。
とはいえ、ある程度の相場はあるものです。
ここでは、不倫の慰謝料請求の相場について解説します。高額の慰謝料支払いに苦しむことがないよう、あらかじめ知っておいてください。
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(1)一般的な不倫の慰謝料請求相場を知っておこう
不倫による慰謝料額の一般的な相場は、100万円から300万円程度のイメージです。
とはいえ、慰謝料とは、被害者が受けた精神的苦痛に対して支払われるお金です。
そのため、「不倫によって夫婦関係がどうなったのか」はもちろん、「当事者の生活レベル」「被害状況」などによって、慰謝料額は大きく異なります。
例えば、不倫が原因で離婚した場合は、慰謝料額は高くなる傾向があります。
反対に、「不倫があっても離婚しない」など、婚姻生活に深刻な影響を与えなかったとみなされるケースでは、慰謝料額は低くなる傾向があります。 -
(2)不倫相手を巻きこめば負担は軽くなる
不倫はひとりではできません。あなたと不倫相手のふたりの行動がなければ、不倫にはならないものです。そこで、1つの「不貞行為」に対して行われた慰謝料請求への支払い義務は、不倫をした当事者ふたりが基本的に負うことになります。
つまり、あなただけが慰謝料請求されたというケースであれば、負担しなければならない慰謝料の負担を、不倫相手に一部求めることができます。
5、慰謝料請求を受けて、解決までの期間はどれくらい?
慰謝料の請求をされたら、誰でも気が気ではない状態になるでしょう。もしかしたら、今は何も知らないあなたの配偶者にも、あなたの秘密がばれてしまうと思えば、なおさらです。
では具体的に、慰謝料請求を受けたとき、解決するまでにはどれぐらいの期間がかかるのでしょうか。
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(1)あなたの対応次第で解決までの期間は変わる
結論から言えば、あなたの対応次第で、解決までの期間は変わります。
不倫の事実があるのならば、素早く謝罪し、誠意を見せる対応をすることで、相手の怒りは沈静化し、大事になる前に解決してしまうこともあるのです。ただし、相手の言いなりになるわけではなく、専門家のアドバイスに沿った交渉をしましょう。
慰謝料の支払いは、一括払いはもちろん、分割にすることも可能です。配偶者に気づかれない程度の負担額を提示して、交渉するのもひとつの手です。 -
(2)最も早くて1ヶ月以内、長いと数年かかることも
もし交渉が決裂し、話がこじれてしまえば、調停や裁判へ至ることは少なくありません。
調停や裁判は月に一度程度、平日に行われることになります。その場合、あなたの仕事への影響も考えられますし、問題解決までの時間が長期化する傾向があります。
特に、裁判を起こされてしまった場合は、年単位の争いになることは覚悟しておきましょう。 -
(3)長期化すれば、内緒で慰謝料請求の対応は難しい
目下、一番楽だと思われる方法は、相手の慰謝料請求を無視することかもしれません。
しかし、あなたが内容証明を無視し、裁判所からの呼び出しも無視をすれば、相手の言い分のまま慰謝料額についての判決が下されてしまいます。場合によっては、強制執行を起こされてしまうので、口座や給料を差し押さえられてしまいます。
また、話し合いがこじれればこじれるほど、相手のあなたへの怒りが強くなります。その分、周囲へあなたが不倫をしていたことをばらされてしまう可能性が高まるでしょう。
さらに、弁護士に依頼せず、あなたが一人で対応しているのであれば、窓口となっている自宅への郵送物や電話などで、配偶者に露見してしまう可能性もあります。
内緒で慰謝料請求の対応をしたいと考えているのであればなおさら、長期化しないように留意して対処していく必要があります。
6、配偶者や職場に不倫の事実をバラすと言われたら?
不倫をされてしまった当事者は、怒りと悲しみにかられて、不倫相手に社会的制裁を加えたいと考える方は少なくありません。しかし、そのような行動を起こさないよう、認められているものが、慰謝料請求という制度です。
実際に、「ご主人にバラします」などと言われたとしたら、あなたは脅されていると感じるのではないでしょうか。そもそも不倫は、ごく個人的な出来事であり、プライベートです。たとえ事実であっても、あなたの社会的地位が低下することを目的に、第三者へ公表することは「名誉棄損」と認められる可能性があります。
具体的には、以下のような行為が名誉棄損と認められる可能性があります。
- 玄関などにビラを貼る
- FAXなどの文書や不倫の写真を会社や自宅に送りつける
- SNSに書き込み、公表する
- 不倫当事者の実家や親族へ不倫の事実を暴露する
名誉棄損と認定されれば、相手は、刑事的責任・民事的責任の両方が問われることになる可能性があります。
まとめ
今回は、不倫の慰謝料請求をされてしまった方へ、どのように対処すればよいのかについて解説しました。たとえ自らに非があっても、寝耳に水の状況です。終始冷静に対処し、相手の怒りを納めることは難しいのではないでしょうか。
可能な限り、不倫の慰謝料請求問題に対応した経験が豊富な弁護士に相談し、対策していくことをおすすめします。
特に、配偶者や家族に内緒で慰謝料請求の対応をしたい場合は、あなたひとりで抱え込むことは危険です。窓口があなたの自宅になるため、家族に気づかれずに対処していくことは明らかに難しくなるためです。
まずは弁護士へご相談ください。
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