痴漢の冤罪で夫や息子が逮捕されたら? 家族ができる手続きを教えます

2018年11月30日
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痴漢の冤罪で夫や息子が逮捕されたら? 家族ができる手続きを教えます

ある日、家族が痴漢の容疑で警察に逮捕されたら、あなたならどうしますか。

たとえ冤罪(えんざい)だとしても、実際に逮捕されてしまったと聞いたら、どうすればよいのかわからないのではないでしょうか。また、会社や学校へ「痴漢で捕まった」という話が伝わってしまうのではないかという不安もあるでしょう。

突然の出来事ですから、冷静に対応することはおそらく難しいはずです。そこで今回は、あなたの大切な旦那様やご子息が、痴漢の冤罪で逮捕されてしまったとき、家族がおかれる状況、手続きの流れなどについて松山市の弁護士がご紹介します。

1、痴漢で逮捕されてしまった際のその後の流れ

痴漢の容疑で警察に逮捕されてしまったときは、たとえ冤罪の可能性があるとしても、「被疑者(ひぎしゃ)」と呼ばれる立場となり、身柄を拘束されることになります。取調べや捜査の後、釈放されなければ、引き続き身柄が拘束され続けます。

具体的には、以下の経緯をたどることになります。

  1. (1)逮捕

    逮捕後は警察の留置施設に入り、取調べを受けます。警察は、逮捕から48時間というという短い時間の間に捜査を進め、事件を検察に送る「送検」をするか、釈放するかを決める必要があります。

    また、逮捕されている段階では、弁護士以外は被疑者に面会することができない決まりとなっています。家族が警察へ足を運んでも、直接話をすることはできません。

    この段階から弁護士に依頼することで、弁護士による面会を通じて家族の言葉を伝えたり、今後の対応のアドバイスをしてもらうことが可能となります。

  2. (2)勾留

    警察署から検察へ送検された場合は、さらにそれから24時間以内に捜査を続け、検察官において起訴するかどうかを検討します。

    しかし、多くのケースで、24時間以内に捜査を終えて決定することは難しいものです。そこで検察官は、捜査を続ける必要があると判断した場合は、裁判所へ「勾留請求(こうりゅうせいきゅう)」をし、被疑者は裁判官から勾留質問を受けます。その後、裁判所に勾留が妥当であると判断されると、引き続き勾留されることになります。

    勾留期間は原則として、延長も含めれば最大20日間です。勾留が決まると、被疑者は身柄を拘束され続け、取調べを受けることになります。

  3. (3)起訴

    検察が捜査を行う勾留期間中には、取調べを中心に捜査活動が行われます。捜査を元に十分な証拠が集まり、被疑者を刑事裁判にかける必要があると検察官が判断すれば、起訴されます。起訴されると「被告人」と呼ばれるようになり、刑事裁判へ進むことになります。

  4. (4)裁判

    起訴されてもすぐに裁判が行われるわけではありません。手続きなどで時間がかかり、およそ1~2ヶ月後に、審理が実施されます。起訴から裁判で判決が下りるまでの間も、保釈などの手続きを行わなければ、引き続き検察で身柄を拘束され続けるのが通常です。

    また、冤罪であるにもかかわらず、裁判で有罪判決が下されてしまったケースでは、上訴して無罪判決を獲得しなければ、前科がついてしまいます。ただし、日本の刑事事件においては、起訴された事件の99%が有罪判決という統計結果が出ています。可能な限り、弁護士のサポートのもとで起訴されるまでに冤罪であることを強調し、検察官が「罪が証明できないかもしれない」と考えるよう促すことが重要です。そうしておけば、たとえ起訴されて裁判で争う場合にも、「裁判前から一貫した理由で否認している」と評価され信用してもらいやすくなります。

2、旦那様や未成年のご子息が痴漢で逮捕された場合に何をするべきか

旦那様やご子息が逮捕されたとき、身柄の解放のために家族が直接できることは多くありません。そのため、早期釈放をめざすのであれば、できるだけ早く弁護士の力を借りることをおすすめします。

特に逮捕から勾留が決定するまでの間は、たとえ家族でも面会ができず、状況がわからなくなってしまいがちです。痴漢冤罪で逮捕されてしまったときは、特に、家族だけで対応していくことは難しいといえるでしょう。

勾留が決定してしまうと、20日間身柄を拘束されてしまうケースが多々あります。起訴されて後半に進むと、さらに拘束期間が2ヶ月以上続くケースがほとんどでしょう。たとえ冤罪であっても、拘束される期間が長引くことによって、会社や学校、日常生活への社会的影響も避けることができなくなっていきます。

1日でも早い身柄解放を勝ち取るために、弁護士がどのような活動をするのかについて解説します。

  1. (1)勾留回避(こうりゅうかいひ)

    逮捕直後に弁護の依頼を受けた弁護士は、まず「勾留回避(こうりゅうかいひ)」を狙います。勾留回避とは、文字どおり、勾留が決まる前に釈放されることです。つまり、逮捕されてから検察が勾留請求を行うまでの、最大72時間が最初の勝負となります。

    被疑者・被告人が罪を認めている場合や、家族などの身元引受人がいる場合には、証拠隠滅の可能性が低く、また逃亡の恐れがないため、裁判所に勾留の必要がないと判断され、釈放されやすくなります。ただし、ここで釈放されるからといって、罪を認めてしまうと、無罪放免になるわけではない点に注意が必要です。

    冤罪の場合は、粘り強く無実であることを主張し続ける必要があります。捜査される過程で動揺し、痴漢を認めてしまうような供述をしないよう、注意が必要です。弁護士との面会は、精神面においても支えになるだけでなく、取調べへの対応について具体的なアドバイスをもらえる点で非常に重要です。

  2. (2)勾留の不服申し立て(準抗告)

    もし勾留が決定しまった場合、弁護士は「準抗告(じゅんこうこく)」を行います。準抗告とは、裁判官の判断に対する不服申し立ての手続きです。

    弁護人となった弁護士は、準抗告を行うとともに、また嫌疑が誤っていればそのことも検察に対して繰り返し伝えて、起訴しないよう説得を続けます。また、被疑者とも自由に面会でき、長い勾留期間の中で適宜捜査への対応に関するアドバイスをするなど、重要なサポートを行うことができます。

  3. (3)起訴後の身柄解放(保釈)

    それでも起訴されてしまった場合は、弁護士はまず「保釈(ほしゃく)」の手続きを検討します。保釈とは、起訴後に保釈金納付などを条件とし、被告人の身柄を解放する制度です。保釈による身柄解放を目指すとともに、来るべく刑事裁判で無罪を勝ち取るための準備を行っていきます。

    逮捕・勾留されると会社や学校を休まざるを得なくなります。休みが長期間にわたると、理由の説明も難しくなるでしょう。そして、痴漢による逮捕・勾留が理由で休んでいることが周囲に伝わってしまうと、たとえ冤罪であっても偏見が生じ、日常生活に支障が出ることは十分に考えられます。できるだけ早く嫌疑を晴らし、勾留される前に釈放されることはとても重要なことです。

    弁護士に依頼せず、被疑者の家族が個人で対応していくことは非常に困難です。初期捜査が行われる72時間もの間は、被疑者本人に会うことすらできないため、状況の把握もできないはずです。

    弁護士に事件対応のすべてを依頼すれば、法的な対策を尽くしてくれるだけでなく、示談交渉についても骨を折ってくれるでしょう。加害者本人や身内とは話したくないが、弁護士とであれば…と被害者が話を聞いてくれることも沢山あります。

3、まとめ

今回は、夫や未成年の息子が痴漢の容疑で逮捕されてしまった場合、どのように捜査が進められるのか、どのような対応が必要なのかについてご紹介しました。

逮捕されてしまった家族を一刻も早く自由の身にしてあげたい、と焦ってしまうかと思います。しかしながら、ご家族内で悩んでいても、なかなか有効な打開策は見つからないかと思いますので、ぜひお早めに弁護士に相談・依頼し、逮捕されているご家族に弁護士によるサポートを届けてください。
ベリーベスト法律事務所・松山オフィスであれば、万が一逮捕されてしまった際も、愛媛県警察本部や愛媛県松山東警察署の近くにオフィスを構えているため、スピーディーに駆けつけることができます。ご家族の将来を守るためにも、ぜひご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています