盗撮をしてしまった際の逮捕の流れと、その後の対処法

2020年04月24日
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盗撮をしてしまった際の逮捕の流れと、その後の対処法

平成29年5月、松山市内で女性のスカートの中を撮影したとして、県の迷惑行為防止条例違反で男性が逮捕されました。男性が実際に盗撮を行ったのは平成27年だったと報道されています。

盗撮は、盗撮を行った場所などにより、さまざまな罪名で逮捕される可能性があります。盗撮した当日は捕まらなくても、数年後に逮捕されてしまう可能性もありますので、過去に盗撮した経験がある方は、注意が必要です。ここでは、盗撮した場合に問われる罪や量刑、逮捕後の流れなどをベリーベスト法律事務所 松山オフィスの弁護士が解説します。

1、盗撮はどのような罪でどう罰せられるのか

盗撮とは、公共の場所や私的な場所を問わず、カメラなどで相手の同意なく衣服の下の写真や下着の写真、動画などを撮影することをいいます。盗撮を行った場合に、適用される法令は以下の通りです。

  • 各都道府県の迷惑行為防止条例
  • 軽犯罪法、住居侵入罪
  • 児童ポルノ法


  1. (1)愛媛県内の公共の場所で盗撮をしたら愛媛県迷惑防止条例違反

    松山市内を含む愛媛県内の公共の場所で盗撮を行った場合は、愛媛県迷惑行為防止条例違反になる可能性があります。なお、愛媛県在住の方が、県外で盗撮をした場合はその地域の迷惑行為防止条例違反に問われます。

    愛媛県の迷惑行為防止条例では、「公共の場所」での盗撮や盗撮するためにカメラを向ける行為を禁止しています。愛媛県迷惑行為防止条例違反で逮捕されて有罪になった場合は、6月以下の懲役または50万円以下の罰金に処すると規定されています。常習的に盗撮を行っていた場合は1年以下の罰金はたま100万円以下の罰金です。

  2. (2)軽犯罪法違反、住居侵入罪

    愛媛県内では、電車内やそれ以外の公共の場所、もしくは公衆浴場や公衆トイレなどで盗撮をする、もしくは盗撮のためにカメラを固定すると、迷惑行為防止条例違反になりますが、私的な空間で盗撮した場合は、軽犯罪法違反や住居侵入罪別など、別の罪に問われます。

    軽犯罪法には、盗撮自体を禁じる項目はありませんが、軽犯罪法第1条の「のぞき見」を禁じる項目に該当すると解されます。軽犯罪法違反で逮捕されて有罪になると、1日から30日未満の拘留、もしくは、1000円から1万円未満の科料に処されると規定されています。

    しかし、のぞき見をするためには、私有地に侵入するケースが多いため、私有地に侵入して盗撮した場合は、軽犯罪法よりも罪が重い、刑法の住居侵入罪に問われる可能性があります。住居侵入罪で有罪になると、3年以下の懲役または10万円以下の罰金なので、軽犯罪法よりも重い罪になってしまいます。

  3. (3)相手が18歳未満であれば児童ポルノ法違反

    盗撮した相手が、18歳未満の場合は児童ポルノ法違反となり、「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」という重い罪に問われてしまいます。

2、盗撮するとどのような場合にどう逮捕されるのか

罪を犯したことが警察に露見してしまったら逮捕されると考える方が多いですが、実は身柄を拘束する「逮捕」は全ての事件で行われるわけでありません。具体的には以下のようなケースで逮捕されます。

  • 逃走しようとした
  • 証拠となるカメラなどを破壊しようとした
  • 盗撮したことが明白なのに否認をした
  • 住所不定、無職、引受人がいない


逮捕されなかったからといって無罪になったわけではなく、在宅事件として捜査や取り調べは続きます。

  1. (1)盗撮は現行犯逮捕が一般的

    盗撮の多くは、一般人や警察によって取り押さえられ逮捕される傾向にあります。盗撮に限らず、どの犯罪も、罪を犯している最中であれば警察だけでなく一般人でも逮捕することが可能です。

    スマートフォンやパソコン内の画像から、盗撮が露見することもありますので、盗撮してからしばらくたってから逮捕される可能性もあります。冒頭の例では盗撮後2年経過してから逮捕されていました。

    後日逮捕される場合は、警察が捜査を行った上で、罪を犯していることの確証をえた際に、裁判所に逮捕状を請求して、逮捕状が発行されたら、逮捕に踏み切ります。その場合は、自宅などに、逮捕状を持った警察官が訪れます。

    場合によっては盗撮がみつかり警察署に連行されたとしても「検挙」されただけで釈放され、逮捕に至らないこともあります。

  2. (2)不起訴となる場合

    刑事事件では、逮捕されても全ての事件が刑事裁判で裁かれるわけではありません。検察官がさまざまな証拠をもとに、起訴するかどうかを決定します。起訴されたら刑事裁判が開かれ99.9%の確率で有罪になるといわれていますが、不起訴になれば前科はつかず身柄も解放されます。

    つまり、盗撮で逮捕された場合は、まずは不起訴を目指すべきなのです。「初犯」「被害が軽微」「犯行を認めている」などの条件をクリアし、かつ被害者と「示談」が成立していると、盗撮で逮捕されても不起訴になることがあります。

    初犯や被害が軽微、犯行を認めているなどの場合は、不起訴は無理でも「略式起訴」で済む場合もあります。略式起訴であれば正式な裁判のように時間はかからず、1日で罪が確定します。ただし、略式起訴の場合は、罪を認めている場合に選択されますので、無罪を主張することはできません。

3、盗撮で逮捕された後はどうなるのか

盗撮で逮捕されたら48時間は警察署内の留置場に身柄を拘束されます。その間に、警察官が検察に身柄を送検するかどうかを判断します。検察官に身柄が送検されると検察官は24時間以内に勾留するべきかどうかを判断します。

勾留が必要と判断されるのは、「逃亡する疑いがある場合」や「証拠隠滅する疑いがある場合」、または「住所が不特定」などのケースです。検察官が勾留が必要と判断したら、裁判所に勾留請求を行い、裁判官により本人の面接が行われます。その結果、裁判所も勾留が必要と判断すると勾留されます。

勾留されると、拘置所や留置所などに、最大20日間身柄が拘束されます。検察官はこの期間内に起訴するかどうかを判断します。不起訴と判断されればその時点で身柄が解放されて、自由の身になります。

起訴が決定すると、1か月前後で刑事裁判が開かれます。刑事裁判までの期間も身柄が拘束されてしまいますが、保釈を請求して認められると自宅に帰ることができます。保釈は、起訴が決定しなければ請求できません。

最後に、逮捕後に身柄が拘束される期間を確認しておきましょう。

  • 警察による勾留:48時間
  • 検察官が勾留申請するかどうかの期間:24時間
  • 検察による勾留:原則10日だがさらに10日の延長あり
  • 起訴から公判までの間の勾留:保釈されなければ約1か月

4、盗撮で逮捕されたら早急に弁護士に依頼したほうがいい理由

盗撮で逮捕された場合、一刻も早く弁護士を呼んで弁護活動をスタートすることが大切です。これまでお話ししたように、早期に弁護活動を始めることで、身柄の拘束期間を短縮できたり、不起訴を目指したりすることも可能になります。ここでは、盗撮で逮捕されたら弁護士に依頼すべき理由を説明します。

  1. (1)弁護士を雇うメリット

    まず大きなメリットは、逮捕後の72時間の身柄拘束やその後の最大20日間にもおよぶ勾留を回避できる可能性があることです。

    警察が逮捕後に身柄を拘束したり、その後勾留したりする理由は「逃亡や証拠隠滅を防ぐため」です。早期に弁護士に依頼することで、身元がしっかりしていると判断されて逮捕後の身柄拘束や勾留を避けられる可能性があります。

    また、不起訴を目指すためには、早期に弁護活動をスタートすることが必要不可欠です。日本では刑事裁判が開かれたら有罪になる確率が非常に高いものの、不起訴になれば刑事裁判は開かれませんので、前科がつくこともありません。不起訴になるためには、弁護士による働きかけが必須です。

    万が一起訴されてしまっても、執行猶予つき判決を目指すこともできます。つまり、弁護士に依頼することで、身柄の拘束を最大限避けられるので、盗撮で逮捕された影響を最小限にできるということです。

    多くの方が「弁護士に依頼してよかった」と実感されるのが、逮捕後の72時間におよぶ孤独な時間に行われる弁護士による接見です。通常、逮捕から72時間は家族や知人は面会することができませんので、外の世界から断絶された空間で過ごすことになります。

    その間、警察官による厳しい取り調べが行われますので、自分に不利な自白をしてしまうこともあります。しかし、弁護士であれば接見の都度取り調べなどにアドバイスすることができますので、自ら不利な状況に陥ることも回避できます。

  2. (2)弁護士による示談交渉

    不起訴や執行猶予つき判決を目指すために必須なのが、被害者と示談が完了していることです。被害者との示談が完了していれば、罪を犯していることが確かであっても不起訴になる可能性が高くなります。万が一起訴されても、執行猶予つき判決が期待できるでしょう。

    示談交渉は本人や家族も行うことができますが、加害者側が被害者の連絡先を知ることはできません。個人情報なので、警察や検察官が教えてくれることはほとんどないといます。しかし、弁護士が示談交渉をするために連絡先などの情報の開示を求めれば、教えてもらえます。

    また、加害者と被害者が直接示談交渉することは非常に困難で、スムーズに進みにくいものです。しかし、弁護士であれば、被害者側も冷静に話し合いに応じてくれることが多く、示談が成立する可能性も高まります。早く示談ができれば、不起訴になる可能性も高まりますので、そのためにも弁護士への依頼は必要不可欠です。

5、まとめ

盗撮をすると、各都道府県の迷惑行為防止条例や児童ポルノ法違反等の罪逮捕される可能性があります。逮捕された場合は、早急に弁護士に依頼して身柄の拘束や起訴を避けるための弁護活動が必要不可欠です。
ベリーベスト法律事務所 松山オフィスには盗撮の弁護活動の実績が豊富な弁護士が在籍していますので、あなたが今おかれた状況に合わせて最適な対応させていただきます。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています