何度も盗めば刑罰が重くなる? 万引きで逮捕されたとき、弁護士ができること

2019年08月08日
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何度も盗めば刑罰が重くなる? 万引きで逮捕されたとき、弁護士ができること

平成28年2月、松山市の神社でお守りを万引きしたとして無職の男性が逮捕されました。その後起訴されましたが、警察官の証言が信用できないことから「無罪」が言い渡され、その後の二審判決でも無罪となりました。
この事件では、男性は無罪判決を言い渡され前科がつくことなく日常生活に戻ることができそうですが、実際には日本の刑事事件での有罪率は99.9%と非常に高く、起訴されると無罪になることは難しいと言われています。

逮捕されて起訴されてしまうと、その後の社会生活に大きな影響を与えかねません。そこで今回は、ベリーベスト法律事務所 松山オフィスの弁護士が、万引きをしてしまった場合の逮捕前後の流れや、対処法について詳しく解説いたします。

1、万引きはどのような罪でどう罰せられるのか

万引きとは「店舗で代金を支払わずに商品を持ち去ること」を指します。店舗の商品を、料金を支払わずに故意に持ち去り店舗を出ると、万引きをしたことになります。では、万引きをしたらどのような罪に問われるのでしょうか。ここでは万引きの罪名や量刑などを解説します。

  1. (1)万引きは窃盗罪に該当する

    万引きは、刑法上は「窃盗罪」に該当します。刑法第235条では「他人の財物を窃取した者は窃盗の罪とし、十年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する」と規定されているのです。

    窃盗罪が成立するためには、「他人が管理するものを自分のものする意思を持って盗むこと」という条件を満たさなければなりませんが、対価を支払わずに持ち帰る万引きは、こちらの条件に該当するといえることが多いです。

  2. (2)刑の重さを決める要素

    万引きで捕まった方全員が逮捕されて起訴されるわけではありません。起訴されて有罪となれば、10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されることになります。
    万引きで捕まった場合には、通常の場合、事件につき警察から検察へ送致がなされ、検察で事件についての処分がなされることになります。
    しかし、万引きは盗んだものの金額や、常習性などにより、警察から検察に送致がなされないことがあります。それを微罪処分といいます。
    微罪処分とは、警察署に身柄を拘束され取り調べなどを受けるも、警察が検察へ送致しないと判断することです。金額がごく少額だったり、初めて犯行におよんだりした場合は、「説諭」と言って簡単にいうとお説教をするだけで解放されることがごくまれにあることがあります。もっとも、微罪処分になるかどうかの基準等は公表されておりません。

2、万引き逮捕は現行犯だけでなく後日逮捕もある

万引きをしてしまった方の多くは、その場で店員などに取りさえられ現行犯逮捕されます。しかし、中にはしばらくしてから警察官が自宅などを訪れて逮捕する後日「通常逮捕」されることもあります。

その場では逃げ切れても、防犯カメラの映像などから逮捕される可能性がありますので、万引きをしてしまった場合は、あらかじめ弁護士に相談しておくと逮捕に備えることができます。ここでは、現行犯逮捕と通常逮捕の違いについて解説します。

  1. (1)現行犯逮捕

    逮捕は警察官しかできないと思われがちですが、現行犯逮捕の場合は、店員や他の顧客などの一般市民も行うことができます。現行犯逮捕とは、今まさに犯行が行われているという状態で逮捕することです。

    スーパーやショッピングモールには万引きを取り締まる保安員などが見回っており、万引きした方を確保することもあります。

  2. (2)通常逮捕

    通常逮捕とは、捜査機関が所定の捜査を行い、犯行をしたことが確かだという証拠を取りそろえて、裁判所に逮捕状を請求し、逮捕状が発付された場合に行われる逮捕です。現行犯逮捕とは異なり、一般市民は行うことができず、警察官あるいは検察官が行うことになります。

    万引きは、証拠集めが難しいため後日逮捕となることは少ない傾向にありましたが、近年は防犯カメラの性能が向上したため、店側が防犯カメラの映像を警察に提供し、後日、逮捕するケースが増えています。万引きをしてから、逮捕されるまでの期間に定めはありません。

3、万引きで逮捕された後はどうなるのか

次に、万引きで逮捕された場合の流れを解説します。

  1. (1)逮捕から72時間以内に勾留するかどうかが決まる

    逮捕後48時間は、警察署内の留置所に身柄を拘束され、警察官による取り調べが行われます。警察官による取り調べは48時間以内と規定されていますので、48時間以内に検察官に事件が引き継がれます。

    そして、検察官は24時間に「勾留が必要かどうか」を判断し、勾留が必要と判断すれば裁判所に勾留請求を行います。勾留とは、証拠隠滅や逃亡の疑いがある犯人を拘置所等に拘束する処分です。

    勾留が決定すると、最大で20日間身柄が拘束されてしまうため、勾留される前に弁護士に相談して勾留を回避するための弁護活動をスタートしてもらう必要があります。勾留を回避できれば、無罪になるわけではありませんが、自宅に帰ることができるので、仕事等の社会生活への影響を最小限に抑えることができます。

  2. (2)悪質な場合は起訴される

    勾留された場合は勾留期間が終了するまでに、検察官が「起訴」するかどうかを決定します。勾留されずに身柄を解放される「在宅事件」となった場合も、検察官は起訴するかどうかを判断します。

    起訴をされると、被疑者は被告人と呼ばれるようになり、刑事裁判(公判)が開かれます。起訴から公判までは、大体1カ月半ほどかかります。起訴が決定し、保釈を請求して認められれば身柄は解放されます。ただし、保釈は請求しなければ自動的に解放が認められることはありませんので、弁護士などに依頼して保釈請求をしなければなりません。

4、なぜ万引きで逮捕されたら早急に弁護士をつけたほうがよいのか

万引きで逮捕されたら、なるべく早く弁護士に弁護活動を依頼すべきです。弁護士に弁護活動を依頼することで、勾留回避のための弁護活動が可能なので、最大20日間の勾留を受けずに済む可能性があります。

窃盗罪で逮捕されて勾留されるとなると、会社や学校を休むことになり、復帰は難しくなります。しかし、勾留を回避すれば自宅に帰ることができるので、社会的影響は最小限となります。

また、弁護士がつくことで、家庭や医療機関でサポートできることを主張し不起訴になることもあります。万が一起訴されても「略式起訴」といって罰金刑が言い渡される処分で済む可能性もあります。刑事裁判が開かれた場合も、執行猶予付き判決を目指して弁護活動を行い、執行猶予付きの判決となれば刑務所に入らなくて済みます。

このように、弁護士に依頼することで罪が軽くなる、起訴されない可能性があるなどさまざまなメリットがありますが、そのためには「早く弁護活動をスタートすること」が必須です。

勾留を回避するため、略式起訴を目指すためには逮捕されてから72時間以内に弁護活動をスタートすることが重要です。逮捕後72時間は家族とも面会できず、閉鎖空間で厳しい取り調べを受けることになります。その際に不利な供述をしてしまうことも少なくありません。しかし、弁護士は逮捕期間中でも接見が可能なので、取り調べの際の注意点や言っていいこと悪いことなどを具体的にアドバイス可能です。

それと同時に、勾留を回避するための弁護活動を行えます。しかし72時間を経過してしまうと勾留が認められてしまい、最大20日間も身柄が拘束されてしまいます。だから、逮捕されたらなるべく早い段階で、弁護士に弁護を依頼しなければならないのです。

5、まとめ

万引きをしてしまった場合、現行犯で逮捕されなくても後日逮捕される可能性があります。すでに逮捕されている場合は早急に弁護士に弁護活動を依頼して、社会生活への影響を最小限に抑えましょう。

まだ逮捕されていない場合も、後日逮捕に備えて一度弁護士に相談しておくことをおすすめします。ベリーベスト法律事務所 松山オフィスでも、急に逮捕されたときの注意点や対処法など、万引きをはじめとした刑事事件に対応した実績が豊富な弁護士が、あなたの状況をきちんと確認した上で最適な対処法をお伝えします。ひとりで悩まずに、まずはお電話ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています