家族が放火罪で逮捕された! 刑罰の違いと対処方法を弁護士が解説

2018年12月18日
  • その他
  • 放火罪
  • 松山
家族が放火罪で逮捕された! 刑罰の違いと対処方法を弁護士が解説

2018年5月、松山市で自宅を放火しようとした男が逮捕される事件がありました。もし、自分の家族が近所の家に放火をしてしまい、現行犯逮捕されてしまった場合、家族としてどのようなサポートができるのでしょうか?

放火をしてしまった息子に対して、家族として何かできることはないか、調べている方のため、今回は放火罪について弁護士が解説します。

1、放火罪と失火罪の違いとは

よく似た名前の犯罪で、失火罪と呼ばれる罪があります。両者は、出火と関係する法律ですが、どのような違いがあるのかについて確認していきます。

  1. (1)放火罪

    故意に出火させることを放火罪といいます。つまり、近隣の住宅などに、意図的に火をつけて出火させた場合は、放火罪として罪に問われます。

    また、近隣住民の住宅に直接点火しなくても、火のついた新聞紙を投げ込むなどの媒介物を利用して住宅などを燃やした場合にも放火の罪に問われます。

  2. (2)失火罪

    一方で、過失によって出火させてしまうことを失火罪といいます。つまり、調理器具のガスコンロを使用していた際、火の取り扱い方を間違えてしまい出火させてしまった場合は、失火罪に問われることが考えられます。

2、放火罪と失火罪の刑罰について

放火罪や失火罪などの罪に問われてしまった場合、その構成要件や刑罰は、どのようになっているのでしょうか?

  1. (1)放火罪の構成要件と刑罰

    放火罪は、大きく3つに分類されます。放火の対象物によって刑罰の重さが変わってきます。

    ・現住建造物等放火罪
    放火した建造物に人が住んでおり使用者がいた場合は、現住建造物等放火罪に問われます。つまり、人が日常的に使用しているという「現住」性があるかということが構成要件の大きな焦点となります。特に危険な行為であるため、下記のように重く処罰されています。

    刑法第108条 現住建造物等放火
    放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

    ・非現住建造物等放火罪
    放火した建造物に人が住んでいない状況で放火した場合は、非現住建造物等放火罪に問われます。刑法第109条には、下記のように記されています。

    刑法第109条 非現住建造物等放火
    1.放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、2年以上の有期懲役に処する。
    2.前項の物が自己の所有に係るときは、6月以上7年以下の懲役に処する。ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。

    なお、他人に賃貸していたり、保険をつけていたりすると、「自己の所有に係る」物ではなく、他人の所有物として扱われます。

    ・建造物等以外放火罪
    人の自転車やバイクなど建造物以外のものに対して放火をした場合には、建造物等以外放火罪に問われる可能性があります。自転車やバイクはもちろん、廃棄している発泡スチロールや段ボールなど、建造物等以外の物が、建造物等以外放火罪の対象物となります。

    これらの対象物に放火した場合は、刑法110条1項により、1年以上10年以下の懲役が科せられます。一方、対象物が自己所有物なら、刑法110条2項により、1年以下の懲役、または10万円以下の罰金が科せられます。

  2. (2)失火罪の構成要件と刑罰

    故意ではなかったとしても他人の非現住建造物や現住建造物で火事を起こしてしまった以上、刑事罰の対象となります。もっとも、故意ではないため刑はかなり軽く定められていて、50万円以下の罰金と定められています。
    一方、失火が酷い不注意に基づく「重過失」によるものと評価されたり、または、業務上必要な注意を怠って生じた場合には、重過失失火罪や業務上失火罪として、刑法117条の2によって3年以下の禁錮又は150万円以下の罰金と重く処罰されてしまいます。

3、放火罪で逮捕された後の流れ

放火罪で警察に逮捕されてしまった場合、逮捕後から48時間以内に釈放、または検察に送致されます。このとき、被疑者の身柄が検察に送致されてしまった場合は、検察官が釈放、または裁判官に対して勾留請求を24時間以内に実行します。

勾留請求によって勾留が決定した場合、原則10日間にわたって勾留されてしまいます。もし、勾留期間が延長された場合は、最大で20日間にわたって勾留され、起訴、または釈放されるかが決定します。

4、放火罪で逮捕されたときの対処方法

他人の建造物に対して放火をしてしまった場合、厳罰は免れないでしょう。ここでは、放火罪で逮捕された場合の対処方法について確認していきます。

  1. (1)故意でないならば論理的な説明をする

    もし、家族が過失による出火を起こしてしまったのならば、過失による失火であって放火ではないことが伝わるような論理的な説明が必要です。

    その際は、放火による疑いを晴らすためにも、家族が弁護士に弁護活動を依頼して、過失であることを一緒に証明してもらいましょう。

  2. (2)放火罪の相談は、弁護士がおすすめ

    ご家族が放火によって逮捕されてしまった場合は、早急に刑事問題の解決経験豊富な弁護士へご相談ください。少しでも早く、ご家族をサポートすることが重要です。

5、まとめ

今回は、放火罪に該当する行為や、どのような刑罰が科せられるのかについて解説しました。もし、自分の家族が放火罪で警察に逮捕されてしまったのなら、ひとりで抱え込むのではなく、弁護士などの専門家に相談してください。判決が言い渡される前なら、状況を変えられる可能性が十分に残っています。ご家族の素早い判断が早急な問題解決につながります。

放火罪によって現行犯逮捕されてしまったご家族のため、何かできることはないかお探しなら、ぜひ一度、ベリーベスト法律事務所 松山オフィスまでご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています