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在宅勤務を理由に減給された! 受け入れるべきではない理由を紹介

2020年10月07日
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  • 松山
在宅勤務を理由に減給された! 受け入れるべきではない理由を紹介

新型コロナウイルス感染症の影響によって、従来のオフィス勤務から在宅勤務(いわゆるテレワーク、リモートワーク)を労働者に指示する企業が増えました。

その中で、在宅勤務を理由に減給された、という事例も見られるようになってきたようです。実際、日本労働弁護団でも、新型コロナウイルス労働問題のひとつとして取り上げています。

在宅勤務を理由に、会社側が一方的に減給することは認められないことがあります。したがって、減給を受け入れるべきではない場合があるといえるでしょう。

この記事では、ベリーベスト法律事務所 松山オフィスの弁護士が、減給が認められるケースやそうではないケースを網羅しながら、これから取るべき対処についてご紹介しています。

1、労働契約の内容を確認しよう

在宅勤務を理由に減給されたら、まず労働契約内容の確認から始めてください。

厚生労働省が発表している「テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン」では、たとえテレワークであっても、労働基準法や最低賃金法など、労働に関する法令が適用されるとしています。つまり、在宅勤務となった場合の賃金や労働時間、就業場所などの労働内容に関しては、会社と労働者の間で締結された労働契約内容に準拠することになるのです。

したがって、もし会社が在宅勤務を理由に労働者の給料を減らす場合、労働契約内容と異なるのであれば、労働者の合意を得なければなりません。

そのため、会社から一方的に減給されたときは、そのまま受け入れるのではなく、自分の労働契約内容を見て、会社がそれに反していないか確認することが重要です。

なお、従業員への労働条件の明示は、労働基準法第15条1項によって会社の義務となっています。違反している場合は、会社に「30万円以下の罰金」が科される可能性があります(労働基準法120条1号)。

2、在宅勤務を理由にした減給は認められない

在宅勤務を理由にした減給は、それが労働契約内容に反しているのであれば、原則として認められません。しかし、それ以外のときにも減給が認められない場合があります。

  1. (1)労働契約が労働者の自由な意思にもとづいて締結されていない場合

    在宅勤務を理由とする減給は、減給の内容が盛り込まれた労働契約に、労働者が合意しているかどうかが重要なポイントとなります。

    しかし、仮にその労働契約に合意してしまったからと言って、必ずしも減給が認められるとは限りません。労働契約の締結における合意は、労働者の自由な意思にもとづかなければならないからです。たとえば減給に応じなければ退職してもらうと会社に迫られ、やむを得ずに減給を受け入れたというような場合には、契約内容自体が無効となる可能性があります。

  2. (2)会社が事業場外みなし労働時間制や裁量労働制の条件を満たしていない場合

    在宅勤務による減給を行う会社の中に、事業場外みなし労働時間制や裁量労働制を理由にするところがしばしばあるようです。「在宅勤務のときは事業場外みなし労働時間制になるから、残業代は出ない」といった具合です。

    たしかに各労働時間制では、所定労働時間を超えて働いた時間に対する賃金は発生しません。ところが、実は会社が制度を導入するための条件を満たしていなかったので、残業代が発生する、といったケースもありえます。

    テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドラインを参考に、詳しく見ていきましょう。

    ●事業場外みなし労働時間制
    事業場外みなし労働時間制とは、オフィスなどの事業場以外で働いたときに、あらかじめ決められた時間分だけ働いたとする制度です。

    たとえば1日の所定労働時間が8時間と決められていれば、実労働時間が5時間でも10時間でも、8時間分の賃金となります。したがって、事業場外みなし労働時間制が適用されている場合、原則として残業代は発生しません。

    しかし事業場外みなし労働時間制を労働時間制として導入するには、事業場外の勤務状況の把握や労働時間の算定が困難な環境の場合に限ります。

    「情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと」「臨時使用者の具体的な指示にもとづいて業務を行っていないこと」という2つの要件を満たさなければいけません。

    昨今は、インターネットを介したコミュニケーションツールが発達しているため、要件を満たしていると判断されにくいのが実情です。事業場外みなし労働時間制度とはみなされなければ、通常の労働時間制度扱いとなり、残業代が発生することになります。

    ●裁量労働制
    一方の裁量労働制も、事業場外みなし労働時間制と同じく、事前に決められた労働時間で給料を決定する制度です。

    しかし裁量労働制が導入できるのは、業務内容が労働者の裁量に大きく委ねられる業種のみに限られています。「専門性が高い業務に従事する労働者」「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査および分析の業務に従事する労働者」だけが対象となっています。

    もしこれらの要件をクリアしていなければ裁量労働制は認められず、所定労働時間を超えて働いた分の残業代は発生することになります。

  3. (3)業務命令で時間外・休日労働をした場合

    在宅勤務でも労働基準法などの法令が適用されるため、会社の指示で1日8時間、週40時間を超えて働いた分については、法定時間外労働として25%分の割増賃金が発生します。また休日に働いた分については、休日労働として35%分の割増賃金をもらうことができます。

    いずれにしても、「在宅勤務だから残業代は発生しない」という会社の言い分は、基本的に認められないと言えるでしょう。

3、減給が認められる可能性があるケース

一方、在宅勤務をきっかけに、減給が認められる可能性があるケースも存在します。たとえば、以下のような場合がその一例です。

  1. (1)明らかに作業量が落ちている

    在宅勤務では、勤務状況や勤務態度ではなく、成果での評価に重きが置かれることがあります。そのため明らかに作業量が落ちている、成果物のクオリティがオフィス勤務時と比べて著しく低いなどの場合は、労働契約の内容にもよりますが、減給が認められる可能性があります。

  2. (2)コミュニケーションに難がある

    在宅勤務では、主にチャットやメールを通じてコミュニケーションを取ることになります。そのとき、たとえば必要な連絡を取らない、指示に対する反応が遅いと、会社から仕事をせずに怠けているのではないかと思われることもあります。そうなれば、すぐに減給はされずとも、その後の評価によって下がり、その結果として減給となってしまう可能性がないとは言い切れません。

  3. (3)自ら在宅勤務を希望した

    会社側からの指示ではなく、自ら在宅勤務を希望した場合、まず会社と話し合うのが一般的です。このとき、会社が在宅勤務を許可する代わりに給料を減らすと言い、労働者がそれに合意すれば減給が認められる可能性があります。

    なお、新型コロナウイルス感染症を理由に在宅勤務を希望する従業員を出社させる場合、会社は安全配慮義務にもとづき、感染症対策を十分に講じなければいけません。たとえばオフィス内を定期的に換気する、マスクを購入して労働者に配布するなどが対策の一例として挙げられています。

4、弁護士に相談したほうがよいタイミングはいつ?

在宅勤務を理由に減給されたら、前述のとおり、労働契約の内容を確認します。そこで契約内容に反していることが判明したら、まずは経営者や人事担当者などと交渉してみましょう。会社側が勘違いしているだけの場合があり、指摘だけで解決する可能性があるからです。

しかし場合によっては、聞く耳を持ってくれない可能性もあります。そのときは、速やかに弁護士に相談してください。

弁護士であれば、法的な観点から減給の対象となるか判断し、本来であれば受け取れるはずの賃金の計算もできます。有効な証拠を集め、それをもって労働者の代わりに交渉することも可能です。会社の対応によっては裁判となる場合もありますが、弁護士に依頼すれば代理人として、裁判にのぞんでもらうこともできます。

弁護士に依頼するときは、自分でもできるかぎり証拠を集めましょう。証拠によっては弁護士が代わってすることもできますが、事前にしておくと交渉がよりスムーズになります。

一般的に重要な証拠となるのが、労働契約内容がわかる雇用契約書や就業規則、実際の労働時間がわかるもの(出退勤を知らせるメールやチャット)、業務指示の内容が記載された印刷物やデータなどです。

また、経営者や人事担当者と交渉したときに、どのような対応をされたのか記録したメモや録音データなども、場合によっては有効となるでしょう。

5、まとめ

在宅勤務を理由とする減給は、たとえ会社からそれらしい理由を言われたとしても、絶対に受け入れなければならないものではありません。特に会社が一方的に行った場合、オフィスで働いていたときと同等の賃金をもらえる可能性は十分にあります。

賃金に関する交渉を経営者や人事担当者とするのは、精神的な負担が大きいときもあるでしょう。ですが、もし交渉して断られたとしても、それが後に重要な証拠となることもあります。

交渉をして、それでもうまくいかなかった場合は、ぜひベリーベスト法律事務所 松山オフィスにご相談ください。弁護士が状況を詳しくお聞きした上で、正しい金額の賃金をもらうために必要な助言やサポートをいたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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